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有馬記念

  • 2001年12月24日(月) 11時45分
 3着にとどまったとはいえ、武豊騎手=トゥザヴィクトリーに翻弄された2500mだったというのが、レースが終わった直後の感覚だった。逃げるとは決めていなかっただろうが、好スタートを切ってみると同じオーナーのホットシークレットは出遅れている。すんなりマイペースに持ち込むことができた。それも1000m通過62秒6、前半の6ハロン通過は1分16秒台という超スローだった。後半の1200mは1分10秒5でまとめ、前後半の差が5秒以上あったのだから、トゥザヴィクトリーは上がり34秒台でぎりぎりまで粘っている。

 後方にいた中で伸びてきたのは、爆発力のある3歳マンハッタンカフェだけ。上がり33秒9だった。これが3歳馬の秘める可能性であると同時に、サンデーサイレンス産駒の最大の良さだろう。ほぼ同じ位置にいたテイエムオペラオーは同じ爆発力で対応することができなかった。

 流れがきまってしまうと途中ではもう動くことはできないもので、レースのペースというのはある点ではスタート前からの騎手の気合というか、闘志に多分に左右されるようなところがある。

 2着アメリカンボスも強気に先行したのが結果として大正解で、もう馬自身に上がり目はなく、決して絶好調とはいえないデキだったが、これも江田照騎手のファインプレーだった。6歳12月の好走だから立派なものだ。

 パターンがないのが有馬記念だが、守られた傾向は今年もそのままだった。秋に好走していた5歳以上の馬は、これでもう20年も連対したことがない。恐ろしい事実だ。秋に好走してしまっては、もう活力が残っていないのだろう。

 期待したナリタトップロードは状態は悪くないのに、馬に闘志がなかった。また、テイエムオペラオーはもともと中山2500mの有馬記念は(昨年勝ってはいるものの)本質的に合っていない。スピードがないからだ。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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