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さて、東京大賞典

  • 2001年12月25日(火) 00時00分
 12月29日、大井「東京大賞典」。競馬歴30年、地方競馬記者歴25年、常日ごろ、予想と結果に流され、ただただあたふたしている記者にとっても、毎年なにか深呼吸したくなるようなレースである。有馬記念はすでに終わった。会社(あくまで一般的)もひとまず休暇に入った。一年はあと数日しかない。せっぱ詰まったというか、袋小路というか。諦念と軽い自虐、そして安堵...。まあしかし、たぶん人間とは、ときにそんな気分を味わいたいものでもあるのだろう。一家のお父さんなら大掃除はやらねばなるまい。正月の買い出しも大事な任務だ。がそれより何より、東京大賞典で一年の思い出と鬱屈を払ってしまおう。そういう友人、知人たちが例年大井競馬場に押しかけてくる。スタンドで、ご無沙汰の長い、思わぬ顔に出会ったりする。

 個人的には、しみじみ嬉しい一日になるケースも少なくない。

 東京大賞典(サラ3歳以上 指定校流 別定 2000m)
  
◎トーホウエンペラー 菅原勲
〇ウイングアロー   横山典 
▲トーシンブリザード 石崎隆
△ノボトゥルー    蛯名
△リージェントブラフ 吉田豊 
△イエローパワー   桑島

 トーシンブリザードは、どうやらぎりぎりまで出否未定ということらしい。12月5日の調教試験で千四1分31秒1(馬なり)の時計を出し、次いで18日に5ハロンからから、64秒1〜50秒0〜37秒0で追い切られた。調試時何と64キロ増だったことは既報通り。そのため、現在乗り運動も含めカッパを着用させての調整と聞いた。

 あと10日、間に合うかは正直微妙。ただ前回も書いたが、佐藤賢二=石崎隆のコンビは、基本的に馬優先主義の慎重居士。出走に踏み切ってくれば、おそらくそれは半端な仕上げではないだろう。

 が、今回は◎に推したい気持ちをグッとこらえることにした。統一G 2勝を含め8戦全勝。むろん南関東の救世主であり、自身完調でダート路線を歩む限り、クロフネ以外には負けてほしくない、またそれだけの夢とイメージも十分浮かぶ。ただ改めて冷静に立ち返れば、やはり3歳馬の休み明け。ここでいきなり結果を出せとは、馬にとっても陣営にとっても厳しすぎる。歯切れは悪いが、まずは無事に戦列復帰...を結論とする。顔ぶれからは負けて恥ではけっしてない。ウイングアローは仮にも一昨年JCダートを勝ち、今年2着の実力馬。トーホウエンペラーも、前々走南部杯であのアグネスデジタルに接戦を演じている。

 そのトーホウエンペラーは、前走浦和記念で意外な凡走。何とか2着は確保したものの、レースぶり、時計とも、まるで内容はほめられない。直線内にささり、鞍上が一瞬手綱を押さえるシーン。馬と人、少なくとも一体という競馬ではなかったろう。気分としては菅原勲騎手に、今度こそを期待したい。アグネスデジタルにきわどく迫った瞬発力、勝負根性は、さまざま好条件を割り引いてもタダモノではない。
 
 ウイングアローは前走JCダート2着だが、クロフネが前を掃除してくれたあと突っ込んだイメージで、昨年ほどの勢いは感じられない。大井コース1勝は、3歳秋スーパーダートダービー。弱敵相手のわりにモタついた印象もあり、特に適性はないだろう。そのJCダートではむしろノボトゥルーのパワーアップが特筆できる。二千百をあれだけ正攻方で乗れれば、深い大井の砂でも克服可能。帝王賞2着リージェントブラフとともにウイングアロー逆転の目は十分浮かぶ。
 
 出てくれば「ワイドの軸」(?)にもと考えていたミツアキサイレンスは、地元・名古屋大賞典に向かい、新潟の意地を賭けて走るはずのエビスヤマトも回避した。かわりに南関東馬を1頭つけ加えればイエローパワー。相変わらずひ弱さを抱え一進一退だが、休み明けの東京盃3着など、G1通用の潜在スピードは持っている。昨年逃げて9着。好漢・桑島孝春がケレン味なく飛ばし、場内を沸かせてほしい。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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