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貫禄のインテリパワー

  • 2002年03月12日(火) 00時00分
 6日、大井「金盃」はインテリパワーの完勝だった。レースぶりはさながら昨年のVTR。絶好の1番枠からごく自然流にイン3番手。直線、張田騎手のGOサインとともに見事な瞬発力で抜け出した。昨年と同じトップハンデ59キロ。内容が物足りない、他馬が走っていない…昨年よりおよそ2秒遅い時計も含め客観的にはなるほどそうだが、素直な印象とするとやはりこの馬には頭が下がる。昨秋日本テレビ盃(アグネスデジタルの6着)以来、およそ半年のブランク。それでいてトップハンデ59キロを背負いながらG1ホースの貫禄をみせてくれた。

 金盃(サラ4歳以上 ハンデ 南関東G2 2000m良)

△ (1) インテリパワー     59  張田   2分06秒4
△(2) コアレスハンター    53  的場文    2
◎(3) イナリコンコルド    57.5 内田博    3
△(4) リガメエントキセキ   56  石崎隆    首
▲(5) ゴールドマイニング   55  一ノ瀬     鼻
……………………………………………………………
△(6) ドラールアラビアン   56   今野
△(10)ゴッドラヴァー     53   桑島

 単2140円   馬複2430円   馬単7240円

 インテリパワーは一種不思議な強さを持つ馬だ。一昨年ファストフレンドを退けた川崎記念。確かに大きな勲章だが、当時にしても他を圧倒する凄み、迫力はイメージとして浮かばなかった。スピードも切れ味も統一G1馬とするときわめて平凡。レース上手、器用さ、そちらがより前面に出るせいもあるのだろう。が、それから2年。現実に金盃を連覇した。金盃45年の歴史で初めてのこと。しかも今回は長期休養明け、船橋・川島正行厩舎へ移ったばかりの快挙だった。試練に強い。とりわけ精神面に驚異的な逞しさを持っている。さらに強運。昨年も今年も、大井コースで絶対有利とされる1番枠を引き当てた。周囲は半信半疑、自身にとっては正念場。ここというところで完全燃焼できたのは、さまざまな意味でやはり名馬の条件でもあるだろう。次走は27日「ダイオライト記念」と聞いた。そこには王者トーシンブリザードが出走する。古馬の貫禄と矜持でどう戦うか。

 コアレスハンターは勢いそのまま、ケレン味なく逃げて能力いっぱいのレースをした。2分06秒8、自己の時計を1秒詰めたのだから期待通り。今回古豪に捻じ伏せられ、それが糧になるかどうか。今日も馬体のハリ、気合など既成勢力を圧倒するものがあった。以下は正直物足りない。イナリコンコルドはハタ目には消極的な競馬にみえた。「稽古は動いても全盛時にはひと息」(内田博騎手)。外枠から行くでもなく捲るでもなく不完全燃焼だから、結果3着でも印象はよくない。リガメエントキセキはこの枠順、鞍上でこの内容なら、どうやら先々も知れてしまった。ゴールドマイニング、ドラールアラビアンは、よくも悪くも個性に徹したいつもの競馬。むしろ休み明けの4歳馬ゴッドラヴァーは、パドック、返し馬など、いかにも充電なったという惚れ惚れする馬体だった。正直南関東は、生え抜きかどうかは別にして「本物の新星」がほしい状況。インテリパワーの底力、名馬の条件は認めつつも、「そんなものではつまらない…」。筆者だけではないだろう。たぶんそれがファンの本音だ。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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