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急ぎ足の春

  • 2002年03月19日(火) 00時00分
 今年の春は急ぎ足のようだ。ほぼ連日素晴らしい晴天が続き、コートなど着ていると競馬場で日中汗ばむ。予報通りなら東京はもう今週末にも桜が満開となるらしい。本当は冬が長く厳しいほどその花は美しく咲くとも聞いたが、さてどうなのだろう。ともあれ、14日川崎では3歳牝馬による新設重賞「ローレル賞」が行なわれ、桜花賞、関東オークスへ向けてトライアルがすべて終わった。

 ローレル賞(サラ3歳牝馬 ハンデ 南関東G3 1600m良)

◎(1)ラヴァリーフリッグ    56 石崎隆  1分43秒8
△(2)スターオブブリッジ    54 森下      4
△(3)イシノラピド       53 甲斐      2
△(4)グリーンヒルレッド    54 的場文     首 
〇(5)ツルマルダンサー     57 張田      1
………………………………………………………………………
▲(6)サルサクイーン      54 今野

単160円  馬複1100円   馬単1770円

 ラヴァリーフリッグは文字通り横綱相撲だった。道中馬なりの2番手、4コーナー手前、ごく自然流に先頭に立ち、外からツルマルダンサーが仕掛けるのを待って追い出された。スローの上がり勝負にせよ抜群の瞬発力。後続があっという間に1馬身、2馬身と突き放された。「ずっと手応えがよかったし川崎の小回りも問題なかった」と石崎隆之騎手。昨暮れ北海道から船橋へ転厩。いきなり大井「2歳優駿牝馬」を勝ち、前走はJRA「クイーンC」挑戦、結果10着ながら初芝でコンマ8秒しか負けていない。ここでは絶対能力が違ったということ。デビューの道営では新馬→オープン2連勝、以後気性面の若さで伸び悩んだが、馬の成長と転厩によるリフレッシュがものの見事に噛み合った。4月3日浦和「桜花賞」は、先に大井・桃花賞を圧勝したベルモントスピネルと一騎打ちになるだろう。ただ陣営はJRA芝にも再び挑戦の意思があり、今後の経緯、馬の状態しだいで、東京「3歳牝馬特別」あたりも視野の一つに入っている。サンデー産駒としては長めの中距離をベストとしたマーベラスサンデーが父。臆せず可能性を探ってほしい。

 ツルマルダンサーは北海道エーデルワイスSを2着、岩手南部駒杯制覇とラヴァリー以上の実績を持って転入した。ただ中間調教のピッチが上がらなかったとの厩舎談もあり、今日のところは体調が伴わなかったと判断したい。前走よりマイナス8キロ、それ以上に細く写る馬体で、パドックのイレ込みも気になった。3〜4コーナー、追い上げた脚はさすがと思えただけに、あとは本番へ向けどう立て直すかだろう。2着スターオブブリッジは好位キープから直線でしぶとく伸びた。ツルマルの凡走に乗じた形だが、自身の内容は悪くない。トロットサンダー産駒。いかにも柔らかそうな馬体、走法で、まだ良化余地を残している。イシノサンデー、ロイヤルエンデバーの半妹イシノラピドも、格上挑戦ながら見せ場を作った。スタートで後手を踏み最後方から直線勝負。キャリア3戦目でこの末脚が発揮できれば展望は明るい。父ブライアンズタイム。賞金が足りないだけに今春クラシックは出走そのものが微妙だが、長い目でぜひ大成してほしい一頭ではある。

       ☆       ☆       ☆

 フロンティアスプリント盃(大井21日 サラ4歳以上 別定 1190m)

 ◎フレアリングマズル     的場文
 〇サプライズパワー      石崎隆
 ▲コアレスフィールド     佐藤祐
 △アインアイン        内田博
 △リザーブユアハート     橋
 △ゴールドヘッド       森下
 △サンデーツヨシ       堀  
 
 大井競馬、年度上シーズンの短距離路線。2月東京シティ盃から始まり、今回フロンティアスプリント盃を経て、4月「マイルグランプリGP」へ到達する。フレアリングマズルはその東京シティ盃圧勝。いいペースで逃げたサプライズパワーをあっさり捻じ伏せ、世代交代を強烈にアピールした。道中は少しおっつけ気味。それでいて直線力強く伸びるあたり、3歳時とはだいぶイメージが違っている。個人的にはむしろ金盃でその真価をみたかった。父ホワイトマズル。気性面で大人になったとなれば一介の快速馬では終わるまい。ともあれ昨春クラシックで、ずっと王者トーシンブリザードの相手役を務めてきたスピード能力がある。勢いも含め負けられない一戦だろう。勝ちっぷりと時計が焦点になる。

 引導を渡された形のサプライズパワーも、1ハロン短縮はもちろん歓迎。明けて8歳馬ながら、心身ともきわめてタフで逞しい。再びすんなり逃げが打てれば2着はまず安泰か。ひと足先に「3連複」「3連単」がほしいレース。長期休養明けでも船橋1000m58秒9の驚異的レコードを持つコアレスフィールド、短距離なら展開不問で時計通り走れるアインアイン、さらに昨秋東京盃でわあやのシーンを作ったリザーブユアハート。古豪ゴールドヘッドはさすがに道中の反応が鈍くなった。器用貧乏のイメージが固まったサンデーツヨシも馬券的に妙味が薄い。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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