ショウナンカンプのG1制覇はさまざまな視点で大きな意義がありそうだ。
まず第一に、ショウナンカンプは父サクラバクシンオーの父系、さらに母ショウナングレイスのファミリーともに、もう代を重ねている日本育ちの血筋。単に父内国産馬のG1優勝というのではなく、牝系も日本が育てた一族というところが素晴らしい。
父サクラバクシンオーは、その父サクラユタカオーも内国産馬。テスコボーイから広がる父系だが、テスコボーイが最初にG1馬を送ったのは、もう30年も前のランドプリンスが最初だった。あれから30年後、このサイアーラインからまたG1馬が生まれた。
日本にはパーソロンの父系、ヒンドスタンの父系、チャイナロックを出発の父系など、日本が育てた父系はいっぱいあるが、ほとんどが2〜3代(20年ぐらい)でアウト。消えている。中でこの父系は、30年に渡ってG1馬を送ったことになる。日本のサイアーラインでは初めてのことだ。スピード能力を少しも失っていない。実に素晴らしい。
またショウナンカンプの場合、牝系にタケシバオーの血が入っていたりする。タケシバオーは力馬ではなく、スピードにもあふれていた。タケシバオーの血を引く馬は、実はスピードもある。これは同じ日、母の父にタケシバオーを持つハッピーマキシマムが1分07秒8で船橋Sを制したことでも示された。
ショウナンカンプは前走、前半の3ハロン32秒0という日本レコードを制していた。圧倒的なスピード能力を持つ馬が、スピードの絶対値の差で力で押し切ったあたりも、すがすがしい気分になる。同厩のメジロダーリングと再び対戦するだろう夏のサマーダッシュ、新潟のスプリンターズSで、昨年を上回るようなスピード記録が生まれそうだ。時計への挑戦が期待できる新チャンピオンが生まれた。