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背水のブリザード

  • 2002年05月07日(火) 00時00分
 5月8日「かしわ記念」。トーシンブリザードにとってこの一戦は、やはり正念場、背水の陣…になるのだろう。前走ダイオライト記念を勝っていればなんでもなかった。もしかすると、ここは登録だけで回避、6月19日「帝王賞」へぶっつけだったかもしれない。が、好位からまるで伸びず5着という結果。陣営はもう一度、力関係と状態を確かめる必要が生じた。そのダイオライトが単に「一過性のポカ」だったのかどうか。競馬とは、勝負のアヤとは、何とも複雑で微妙である。天皇賞のマンハッタンカフェのようなハッピーエンドで終わればもちろんいいが…。

かしわ記念(5月8日船橋・サラ3歳以上・別定・統一G3・1600m)

◎トーシンブリザード(石崎隆)
○インテリパワー(張田)
▲フレアリングマズル(的場文)
△ノボトゥルー(後藤)
△シンコウスプレンダ(横山典)
△コアレスフィールド(佐藤隆)

 とはいえ、ごく普通には、顔ぶれ、距離、コース、すべての条件が今回ブリザードに味方する。フェブラリーS・2着の絶対能力、マイル適性、走り慣れた地元コース。流れに応じた自然流の競馬をすれば問題なく、最後は瞬発力と勝負根性で突き抜けるはずだ。懸念はやはり馬体作りで、ダイオライト時マイナス5キロ、それ以上にどこか小さくみえたのが気にかかる。杞憂に終わってくれるかどうか。直前を含め長めから追い切り3本。昨暮れの大賞典、486キロ程度あってむしろベストだろう。

 いずれにせよ今回は南関東でワンツースリーがある組み合わせだ。復活インテリパワーは距離万能で、1600mに1分37秒9(浦和)の持ちタイム。フレアリングマズルも、今季東京シティ盃〜マイルグランプリと春の短距離路線を完全制覇。ブリザードに懸念材料がある以上、この2頭は勝機も十分考えていい。中央勢ではむろんノボトゥルーだが、前走高知・黒船賞惨敗で本質的に地方の砂が合うかどうか疑問も残る。無欲の直線勝負に賭けて切れ味のあるシンコウスプレンダが穴馬。もっとひねれば、前走マイルGP大敗を2走ボケと割り切ってコアレスフィールドか。船橋1000mのレコードホルダー、交流戦で良積もあり、潜在能力は見劣らない。

 ☆ ☆ ☆

 5月1日、川崎「クラウンC」をキングセイバーが勝った。大井第一冠・羽田盃をあえて回避、次の東京ダービーに弾みをつけようという陣営の戦略。ひとまず狙い通りといえるだろう。自らハナを切りそのまま押し切る正攻法。鞍上・酒井忍騎手は、昨年新潟競馬(廃止)から移籍して重賞初勝利。「1番人気だったし、とにかくホッとしました…」のインタビュー。人馬ともこれでいいリズムで大目標にチャレンジできる。

クラウンC(サラ3歳 ハンデ 南関東G3 2000m梢重)

◎(1)キングセイバー(55・酒井)2分10秒6
 (2)グリーンヒルレッド(54・的場文)2
○(3)アルカングテースト(55・野崎)
…………………
△(7)ボーディングパス(55・石崎隆)
▲(9)イシノプライマシー(55・内田博)

単200円 馬複1940円
馬単2670円 3連複6640円

 キングセイバーは前走大井初見参の雲取賞4着。力関係以前に折り合いを欠いた印象が強かった。今回コースは違うが距離2000mを克服したことで大きな自信がつくだろう。同じ川崎のエスプリシーズが羽田盃を不本意な競馬で4着。能力はほぼ互角とみてよく、今年のレベルなら流れひとつ、乗り方ひとつでチャンスが浮かぶ。父キンググローリアスだが、体型、走法からは長めの中距離向きか。

 的場騎手が「パドックで乗った感触がこれまでと違った」というグリーンヒルレッド。道中中団をスムーズに進み、直線外から力強く伸びてきた。牝馬ながらデビュー時から大きなスケールを感じさせたスキャン産駒。次走「関東オークス」も、穴馬として注目できる。アルカングテーストは重賞初挑戦で流れに乗り切れなかったうらみがある。最後しっかり伸びて3着ならひとまず先につながるか。大井・イシノプライマシーは深いブリンカー着用。スタートから行きっぷりがおかしく、こちらはもう少し経験が必要だろう。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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