キングカメハメハ産駒の
ローズキングダムが朝日杯FSを制した。
キングカメハメハ産駒は初年度産駒が期待されたほどのパフォーマンスではなかった(とはいえ重賞勝ち馬を出しているのだが)が、
アパパネに続いてローズキングダムと、ここへきて一気に帳尻が合った印象がある。
昔は種牡馬というと初年度産駒が狙い目で、2年目はちょっとトーンダウンするというのが相場だった。種牡馬デビュー時にはご祝儀相場的に種付け相手が集まるうえに、シンジケート関係者が(種牡馬の商品価値を上げるため)良い配合相手を用意することが多く、2年目にはそれが一服してしまうから……というのがその理由であった。
しかし、近年はそのパターンにあてはまらない種牡馬も増えてきているような気がする。
有名なところではスペシャルウィークが初年度全く良いところがなく(特に2歳戦の芝で勝つ馬が少なかった)、2世代目からいきなりブレークした。シンボリクリスエスも初年度よりは2世代目のほうが良くなった手ごたえがある。
ただ、感触だけでは参考資料にならないので、実際に調べてみよう。
2009年の2歳世代において登録頭数の多い種牡馬10頭について、初年度産駒と2世代目、それぞれの2歳戦における1走あたり成績を列挙したものが以下の一覧である。
※下段の数字は初年度→2年目(単位は万円)
※09年分は朝日杯終了時点、( )は芝限定の数値
キングカメハメハ
┗163(173)→202(215)
フジキセキ
┗96(79)→176(183)
クロフネ
┗248(280)→115(92)
ダンスインザダーク
┗79(80)→160(159)
ネオユニヴァース
┗147(154)→152(184)
シンボリクリスエス
┗126(122)→128(127)
マンハッタンカフェ
┗124(132)→136(138)
スペシャルウィーク
┗68(51)→177(184)
ゼンノロブロイ
┗144(158)→?(?)
サクラバクシンオー
┗154(192)→152(162)
こうしてみると、もともと「2年目トーンダウン説」は怪しかったのではないかという気もしてくる。
通説通りに2年目ガタっと落ちたのはクロフネおよびサクラバクシンオーのうち芝レースぐらいで、フジキセキやダンスインザダークのような古株も実は2年目の2歳戦のほうが良かった。
さらに古くサンデーサイレンス、ブライアンズタイムの時代まで遡ってみると、確かに2年目産駒は成績が下がっている。ただ、当時は1年あたりの種付け頭数が少なかった。中央に登録された産駒の数でいうとSSは61→64頭、BTは44→36頭にすぎない。
今年の2歳はキングカメハメハが135頭、フジキセキ125頭、クロフネ124頭である。詳しくは配合相手をひとつひとつ見ないといけないが、寡占の度合いなど種牡馬のあり方が昔とは違うことが原因なのではないだろうか。いずれにしても、2年目で種牡馬のPOG人気が下がるとしたら、そこは逆に狙い目となる。
筆者:須田鷹雄
1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。netkeiba.comでは「
回収率向上大作戦」も担当している。
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