3歳重賞も始まってしまったが、前回につづいて2009年の2歳戦線を振り返ると同時に、ドラフト戦略についても言及してみたい。
2歳戦の総賞金額トップは
ローズキングダム(1億200万円)で、以下は
エイシンアポロン、
アパバネ、
サンディエゴシチー、
アニメイトバイオ……と続き、10位が
ダッシャーゴーゴー(4170万円)であった。
このうち、秋競馬(9月以降)にデビューしたのはローズキングダムと
ヴィクトワールピサの2頭だけで、残り8頭は8月までにデビューしている。
ここだけを取ると「やはり早期デビューのほうが有利だ!」ということになるが、10頭というのはサンプルとして少ない。また、消化レース数で見るとまた違った見え方となる。
ローズキングダムのキャリア3戦はトップ10内で最少だが、ヴィクトワールピサと同じ4戦の消化でベスト10入りした馬は他に3頭いる。
早めにデビューした馬が、数を消化できる強みで賞金を稼いだというわけではなく、結局は馬のレベル次第、と見ることもできる。
では、よりサンプルを増やすとどうなのだろうか?
賞金ベスト50(50位がタイなので51頭)の馬について、昨年の2歳戦時に何戦を消化したかを見てみると……。
2戦 2頭
3戦 7頭
4戦 17頭
5戦 13頭
6戦 9頭
7〜9戦 各1頭
賞金ベスト50位のラインというのは1750万円で、それほどレベルが高いというわけではない。それでもなお、7戦以上消化した馬が合計3頭しかいないというのはちょっと意外だ。「とにかく数を使って解決」というのは、昔ほどは無くなっているように思える。
一方、デビュー時期はどうだったか?
6月 8頭
7月 21頭
8月 9頭
9月 7頭
10月 5頭
11月 1頭
こちらを見ると、やはり早いうちに下ろしておいて損はないという気がする。ただし、これはあくまでベスト50・1750万円に入るかどうかという話である。先述したように、ベスト10以内になるには、レース数でなく馬のレベルが問われる。
つまりどういうことかというと、早期デビュー馬はシングルヒットのイメージ、リスクヘッジ用、その中に長打が混じっていたら儲けもの……という、古典的なドラフト戦略のイメージがけっこう正しいのではないかということである。
参考までに、対象51頭のうち、6月の新馬戦で1番人気になっていたのは、
ダノンパッション、
ツルマルジュピター、
エーシンホワイティの3頭(デビュー8頭中)、7月組は
レッドスパークルなど4頭だけ(21頭中)である。いざ走る段になっても馬というのはこれだけ未知の部分が多いのだから、早期デビューの超人気馬にドラフトの上位枠を割いてしまっていいのかは微妙なところだろう。
※次回の更新は、2/5(金)を予定しています。
筆者:須田鷹雄
1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。netkeiba.comでは「
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