スマートフォン版へ

そろそろ2歳トレーニングセールの季節

  • 2010年02月05日(金) 11時00分
 早いもので、今年もフロリダ取材の準備をする時期になった。

 今年は2年ぶりにとあるチームのお買い物に帯同することになったので、私としても楽しみなところである。

 ちなみにそのチーム(伏せている意味があるのかどうかは微妙だが……)はそれほど予算が無い。しかし、それが逆に良い面もある。

 アメリカのトレーニングセールで高い馬というのは、プレビューで動いたか向こうで血統価値があるかのどちらか、または両方である。ところが、プレビューで動いたというのは伸びシロが無い可能性も含んでおり、場合によっては一度緩めたら二度と戻らないということもある。

 その昔、スピードワールドだとかクロフネだとか、タイム的にも動いていてかつ日本でも当たりという馬を買えたのは、当時は日本人バイヤーのほうが資金力があったという事情と、買った馬がたまたま(といったら失礼だが)日本にも適性のある血統だったということによる。

 しかし今ではダーレーを筆頭に強いバイヤーとの競争があるし、アメリカと日本で「良い血統」のミスマッチも生じている。

 例えばA.P. Indy(エーピーインディ)あたりだとシンボリインディなども出していて合格ラインだろうが、Distorted Humor(ディストーテッドヒューモア)だと勝ち上がり率はいいが総賞金ベースでの評価がやや怪しくなり、逆にDynaformer(ダイナフォーマー)はドラゴンウェルズなどそれなりの当たりを出している一方で、勝ち上がり率が50%未満。Street Cry(ストリートクライ)は7頭が日本で登録され、2500万円以上を稼いだ馬がいない。Medaglia d'Oro(メダグリアドーロ)は3頭がデビューしたが、1頭が3歳7月に未勝利を勝ったのみである。

 他の種牡馬も含めて、向こうの高付加価値種牡馬が好時計を出した場合、日本人にとってはリスク(コスト)ばかりが大きい買い物になってしまう。

 日本人バイヤーが買うべきで、かつPOGプレイヤーが狙うべきは、「一見地味な馬」だ。プレビュー時のコンディション(脚元でなく、体調そのもの)がいまいちで一杯に追えなかったとか当日までに仕上がりきらなかったという馬のほうがむしろいいくらいだ。血統も、チェロキーランとその後継とか、タッチゴールド(ちなみに2010年の種付料は1万ドルぽっきり)などヴァイスリージェント系の中でも地味なところのように、「アメリカ人は興味ないけど、日本には合う」というものが良い。

 昔の人気に比べると最近はほとんど顧みられることのない海外トレーニングセール組だが、ここ2年のパフォーマンスはかなり優れている。地方側で行われるダートグレードが含まれるルールならば、絶対に狙っていくべきターゲットだ。

 しかも、ドラフト下位で取れるのだから満足度は高い。逆に、ドラフト上位でないと取れないほど話題になる馬がでてきたら、それは見送ってよい。

 内国産馬の場合、実際の「お買い物」と、POGでの指名の間にはギャップがある。つまり、高すぎると見える馬でも価格が反映されないPOGならガンガン狙っていくしかない。一方で、2歳トレーニングセール組は本当のお買い物とPOGに共通性がある。例えば「20万ドル超の馬は絶対に指名しない」といった縛りを自分に課して臨むと、良い結果が得られるだろう。

※次回の更新は、2/19(金)を予定しています。

筆者:須田鷹雄
 1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。netkeiba.comでは「回収率向上大作戦」も担当している。


出走前日の23:59まで指名OK!新シーズンの「POGダービー」で盛り上がろう!

須田鷹雄+取材班が赤本紹介馬の近況や有力馬の最新情報、取材こぼれ話などを披露します!

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング