タニノギムレット(父ブライアンズタイム)が勝って、2着がシンボリクリスエス(父クリスエス)。日本ダービーはこれで最近10年の連対馬合計20頭のうち、実に13頭までがヘイルトゥリーズン系の種牡馬の産駒によって独占された形になった。
種牡馬の系統は分け方にもよるが、主流血脈だけでも10系統はあるはずで、このヘイルトゥリーズン系(ロベルトと、ヘイローに代表される)の日本ダービーでの強さは、驚異的といえる。スピードとスタミナのほど良くバランスのとれた産駒が多いこと。また、春のクラシックはサバイバルとなる中で、きわめて丈夫でタフなのだろう。
タニノギムレットは松田国英流のよりハードに鍛え、持てる資質にさらに磨きをかける手法が成功した。これは少しずつトーンはちがっても、同じ関西の山内流、かつての戸山流などに通じるところがあって、3歳春のクラシックを制するためには、考えられる最良の方法の1つなのだろう。目標を定めて鍛えて仕上げる方法ともいえる。
関東の藤沢師も4頭も出走させ、2、3、9、17着させたが、なにがなんでもクラシックを、ダービーを、という仕上げの流儀の差が少しはあったかもしれない。ダービーを制するのは執念の差だという歴史もある。また、武豊騎手を配することができた陣営が最後は有利になってしまうのも、他陣営にとっては少々つらいところだ。
人気馬がだいたい上位を占めたが、ノーリーズンは8着止まり。ずっとインの中団よりあとでスムーズな追走ではなかった。蛯名騎手はここ2〜3週、勝ってはいるがちょっとさえていないリズムの不調期だった。
好走ゴールドアリュールは、レース前から第2のトゥザヴィクトリーだろうとささやかれていたが、ホントにそういうタイプに育つのかもしれない。