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週刊サラブレッドレーシングポスト

  • 2002年06月19日(水) 00時00分
 8日のベルモントSをもって3歳3冠が終了し、アメリカの競馬は10月のブリーダーズCへ向けて、ビルドアップされていくことになる。ラスヴェガスのオッズ(バリーズ)を見て驚くのは、クラシックにおける3歳馬の評価が極めて低いことだ。2冠馬ウォーエンブレムで35対1。ベルモントS優勝馬サラヴァだと50対1も付く。エキスパートたちは、3歳勢よりも古馬勢の力を上と見ているのだろうか。

 さて先週はアメリカで、古馬ダート戦線が大きく動いた週末だった。

 まず、15日(土曜日)にニューヨーク州ベルモントパークで行われた9FのG2・ブルックリンH。勝ったのは、4番人気に推されたシーキングデイライト。2歳時デビューから2連勝でおおいに将来を期待されたのだが、骨折で3歳時を丸々棒に振り、今年2月に復帰。3戦目のアロウワンスで復帰後初勝利を挙げた後、前走ベルモントのG3・ウェストチェスターHが4着という成績だから、新興勢力の1頭と言ってよいだろう。次走7月6日のG2・サバーバンHに向かう予定だ。

 このレースでは1番人気で敗れたイードバイも今後が注目される馬だ。昨年3歳時G2・ドゥワイヤーSを制し、続くトラヴァーズS、スーパーダービーとG1で2戦続けて2着に入っている実力馬で、ここはさすがに久々(9カ月ぶり)が響いて4着に敗退したが、この敗戦だけでは見限れない1頭である。

 続いて、同じく15日にケンタッキー州のチャーチルダウンズで行われたスティーヴンフォスターH。今年からG1に昇格したレースである。ここに登場したのが、今春のドバイWC勝馬ストリートクライ。ドバイWCを制して帰国緒戦がここというのは、98年のシルヴァーチャーム、昨年のキャプテンスティーヴと全く同じローテーションで、その2頭がいずれも圧倒的人気を裏切り敗れていることから、ここはコンガリーに本命の座を譲っていた。ところが蓋を開けてみれば、2着ダラービルに6馬身半の差をつける圧勝。10月のBCクラシックへ向けて、確固たる本命の座に就いたと言ってよいだろう。次走は、西海岸に遠征して8月25日のG1・パシフィッククラシックを狙うプランが描かれている。

 ここも、この1戦で見限ってはいけないのが、1番人気で敗れたコンガリーだ。昨年のG1・スワップスS勝馬で、ケンタッキーダービー、プリークネスSともに3着という、現4歳世代のトップホース。昨年秋以来の休養の原因となっていた膝の故障も癒え、前走G3・ローンスターパークHで復帰しいきなり重賞制覇を果たしてここに臨んでいたのだが、どうやら典型的な2走ボケのパターンに嵌まってしまったようだ。

 一方、西海岸のハリウッドパークで15日に行なわれたG2・カリフォルニアンS。勝ったのは、1番人気に推されたミルウォーキーブリュー。既に2つの重賞を制していながら、今年3月のG1・サンタアニタHでG1初制覇を果たした時にはフロック呼ばわりする向きもあったのだが、それ以来3カ月振りの出走となったここもあっさりと通過する姿を見せられては、もはや誰もがその実力を認めないわけにはいかないだろう。次走は、7月14日のG1・ハリウッドGCが予定されている。

 ここ2着のボクスリドンドも、今後が楽しみな1頭。前々走G2・サンバーナーディノHで重賞初制覇を果たした後、前走G2・マーヴィンリロイHに続いてここでも2着と、完全に本格化している。

 BCクラシックへ向けて、今日のコラムに登場した馬たちに加えて、6月1日のG2・マサチューセッツHで今季初重賞制覇を果たしたマッチョウノらが、古馬の中心勢力となる。

 ここに、3歳勢がどう挑むか。更には、早くも出走に強い意欲を見せているホークウィングをはじめとした欧州勢がどう絡んでくるか。シーズン後半の大きな見どころである。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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