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千葉サラブレッドセールとHBAトレーニングセール

  • 2010年05月28日(金) 11時00分
 今回は、終了した千葉サラブレッドセールとHBAトレーニングセールについてお届けしよう。

 まずは千葉サラブレッドセール。社台ファームの上場馬が増えたことで、来場者も大幅アップ。さすがにセレクトセールなみとはいかないが、今後イベントとしての盛り上がりが定着しそうな予感がするセリとなった。

 しかし、最高価格馬は社台以外(カタオカステーブル)の上場馬。アグネスタキオン×フォレストゾーンの牝馬で、ビッグレッドファームが購買した。

 この日の最高タイム馬であり、合田さんが「本日のファステスト!」と謳い上げ→長浜鑑定人が紹介中に「ファステスト」をかぶせるというおなじみの展開に乗り、セリは白熱。購買した岡田繁幸氏は「こんなレベルの馬がセリに出ていること自体が信じられない」と高揚したトーンで語り、その岡田節の中ではザルカヴァやゴルディコヴァの名前まで飛び出した。国枝厩舎に入る予定のようなので、デビューの日を楽しみに待ちたい。

 一方、POGファンとしてはやはり社台ファームの上場馬が気になるところだろう。

 価格第2位のフジキセキ×プリンセスカット(牝)は強いプレイヤーどうしの対決となり、予想された通りの高価格に。血統的にはPOG期間に向きそうな馬でもあり、素直に期待してよいのではないだろうか。

 事前の評価が高かったわりに価格が伸びなかったのがタニノギムレット×グランパドドゥ(牡)。セール当日に大きく馬体重を減らしてしまったのが原因だが、すんなり体が戻れば超お買い得だったということになりそう。小笠厩舎入厩予定。

 他にもいろいろ気になる馬はいるが、POG的には早くから堅実に動けそうなタイプの馬が良いのではないだろうか。価格上位の組からはクロフネ×レイライン(牡)、リーズナブル組からはアドマイヤコジーン×フレンチアイドル(牝)を挙げておきたい。

 続いて、HBAトレーニングセール。

 ゼンノロブロイ×トネスボウス(牡)が5,565万円という凄い値段になったので突出して見えるが、それだけに、POG的には陰に隠れた別の馬を探ったほうがいいような気もする(もちろんこの馬は悪いというわけではない)。

 POGファンがチェックするなら、早い時期向きの血統+中央入りの可能性が高い購買者+それなりの時計という条件が揃った馬がいいだろう。

 完全に他力本願チョイスだが、まずはノーザンファームの購買した2頭。アドマイヤマックス×ピュアハーモニー(牝)とボストンハーバー×セクシーココナッツ(牝)で、1頭選ぶなら後者。プレビューでは70キロの騎乗者が乗って1F10.55秒の好時計。測尺表によると馬体重469キロ、体高162センチ、胸囲184センチ、管囲20.5センチ。

 ビッグレッドファームの購買したゴールドヘイロー×イブキピンクレディ(牡)はモエレフェニックス、モエレトレジャーなどの下にあたりベタといえばベタだが、複数の兄姉が走っている血統は信じてみる手はある。馬体重507キロ、体高163センチ、胸囲186センチ、管囲20.6センチ。

 もう1頭挙げるなら、アグネスデジタル×フジノササメユキ(牡)。単走+70キロの鞍上で10秒台をマーク。ちょっと古い感じもある母系だが、パフォーマンスさえ見せれば認められるべきというのがトレーニングセールだろう。

 私は予習不足の身でもあったので古谷剛彦氏に「穴っぽいところを」と頼んで挙げてもらったのがイーグルカフェ×ベレサトウショウ(牡)。イワミ牧場が自信を持って送り出したとのことでプレビュー前から注目していたそうなのだが、その触れこみ通り一番時計タイをマークしてみせた。

※次回の更新は、6/11(金)を予定しています。

筆者:須田鷹雄
 1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。netkeiba.comでは「回収率向上大作戦」も担当している。

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