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第38回北海優駿

  • 2010年06月02日(水) 00時00分
 日本ダービーの行われた30日(日)より、地方競馬でも九州(佐賀)から「ダービーウイーク」がスタートしている。トップを切って行われた「九州ダービー・栄城賞」はメイオウセイ(父クリストワイニング、牡栗毛)が優勝し、これで通算成績は15戦5勝。生産は浦河・小葉松幸雄牧場。

 翌31日(月)は岩手(盛岡)で第二弾の「岩手ダービー・ダイヤモンドカップ」が行われ、ロックハンドスターが単勝1.0倍の圧倒的支持に応え7馬身差の圧勝劇を演じた。11戦8勝、2着2回、3着1回と、ここまでの成績はほぼパーフェクトに近い。父マーベラスサンデーの牡鹿毛で新ひだか町・服部牧場生産。

 そして、第三弾となるのが、道営ホッカイドウ競馬の「第38回、北海優駿」(D2000m)である。今年より地方競馬全国交流競走となったため、南関東から3頭が遠征してきて12頭が揃った。1着賞金500万円。

 このところ北海道は天候がようやく安定してきて、この日も日中は穏やかに晴れていた。しかし、夕刻より西方から雨雲が近づいてきて、雷とともに、ついにメーンレースが近づくにつれ雨さえ降ってきた。

 ただし、馬場状態に影響を及ぼすほどの雨量ではなく、ファンファーレが鳴り響く頃には止んだのだったが…。

 人気は4番クラキンコが断然で、前走(4/29)の「北斗盃」を制して2冠目に挑む。父クラキングオー、母クラシャトルともにこのレースの優勝馬で、いわば道営にとっては“エリート血統”なのである。

(写真・パドックのクラキンコ) 

 2番人気は、南関東から参戦してきたリュウノボーイ。前日、地元の岩手ダービーを制したばかりの名手・菅原勲騎手が騎乗している。

 改めて出走馬の父馬欄を見ると、前々日に行われた日本ダービーとはまるで異なる名前が並び、いかにも地方競馬らしい。アルカセット、ゴールドヘイロー、グラスワンダー、ダージー、クリプティックラスカル、サッカーボーイ、キングヘイロー、ジャングルポケット、スパイキュール、スマートボーイ、フィガロ。それにクラキングオーという面々だ。

 前週は、火水ともに400人そこそこの入場人員しか来場しなかったが、この日はダービーデーということもあり、いつもよりはやや多めの666人。熱心なファンは、クラキンコの血統背景もよく知っており、言うならば“おらが村のスターホース”なのである。

 午後8時半を少し回って、いよいよ北海優駿の発走時刻を迎えた。4コーナーポケットから各馬がスタートし、11番プリモエナジー(桑村真)が先行。それに8番エクセルチェイサーが続き、クラキンコは3番手を追走する。

 4コーナーを回って、1番人気のクラキンコがスパートすると、難なく先行馬を交わし、余裕でゴールイン。持ったままの圧勝であった。

(写真・クラキンコ) 

 クラキンコは、日高町・倉見牧場生産。馬主は倉見利弘氏。これで10戦5勝。獲得賞金1498万8000円。2着は6番人気のエクセルチェイサー、3着は2番人気のリュウノボーイと入ったことにより、3連単は19710円の高配当であった。

(写真・クラキンコ口取り) 

 ダービーウイークは、今日が大井の「東京ダービー」(1着賞金4500万円)。明日3日は「兵庫ダービー」(姫路、1着賞金1000万円)、4日が「東海ダービー」(名古屋、1着賞金500万円)と続く。

 これら各地のダービー優勝馬を集めて、7月14日に大井競馬場で開催されるのが大一番の「ジャパンダートダービー」である。晴れの舞台を目指して各地から次々と勝ち名乗りを上げる3歳馬たち…というのがこのダービーウイークなのだが、さて、盛り上がりはいかがなものか。

 この日の売り上げは1億8594万8500円と割に健闘したが、これは12レースを組めたことと、各地の場外発売によるところが大きい。

 ただし、入場人員666人は、何としても寂しいと言わざるを得ない。

 どんな競馬場であれ、ダービーと名前がつけば、やはりその日は特別な一日なのである。それにふさわしいような華やかさと賑わいがもっと欲しかったと思う。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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