今シーズンもいよいよ2歳戦がスタートし、開幕週の新馬戦が終了したところでこの原稿を書いている。
その前週には私もプライベートのドラフトに行ってきたのだが、そこで感じたのは、目前にデビューが迫った馬たちの人気の高さである。
もともとPOGの歴史を振り返ると私自身が「早ウマ」の人気を煽った面もあるのであまり言えないが、最近の「開幕週・2週目デビュー馬人気」はちょっと過熱しすぎではないかと思う。
そもそも、私が早ウマを推し山内厩舎やマイネルを推していた時期は、それが有効な戦術だったのである。新馬のはじまる際は出走頭数も少なかったし、出てくる馬にはレベル差があって、新馬勝ちする馬を見極めるのも比較的容易だった。そして、そこで勝ち上がった馬たちは2歳戦のうちにそれなりのポイントを稼いでくれたし、なにより、早ウマはそれほどドラフト人気しておらず、下位でも指名できた。
一方、いまは3場同時スタートになったにも関わらず、新馬にはいきなり頭数が揃うし、出走する馬の血統レベルも上がった。ドラフト事情としては早ウマ人気が過熱する一方で、血統的にスジの通った馬や調教で時計の出た馬は、ある程度上の順位でしか指名できなくなりつつある。POG情報が潤沢に供給されるようになったことも影響しているだろう。
ドラフト事情というのは個々のグループによって違うものだが、あまり人気が過熱するようならば、逆に「超早ウマはあきらめる」という選択肢もあっていいような気がしてきた。
とりあえず、客観的な指標を示しておこう。
過去5シーズン、6月の新馬戦に出走した馬は769頭。そのうち、重賞勝ち馬は12頭。毎年新馬戦開始から2週目までに2〜3頭の当たりが埋まっていると考えると、確かに得なような気がしなくもない。
ただ、その12頭にはナムラマースやディアジーナ、サンツェッペリンといった、新馬戦の馬券でも買いづらかったような馬も含まれている。
769頭がPOG期間内に稼いだ賞金の平均値は932万円、中位値は510万円となっている。
もちろん、769頭には新馬戦最低人気&生涯未勝利というような馬も含まれているわけだから、もう少し対象を絞って考えることもできる。
6月に新馬を勝った馬(69頭)を対象にすると、1頭あたり賞金は2,385万円。中位値で1,340万円。これなら取りたいが、なにしろ「新馬を勝った」という前提であって、それはレース前、ましてドラフト前には分からない。
ならばということで、「6月の新馬で1番人気になった馬」とすると、これでも実は数字はそれなりに高く、賞金は平均値で2,194万円、中位値で1,190万円となっている。
う〜ん、完全に捨てるには惜しい数字になっているので難しいところだ。まあ結局は、先述したようなドラフト人気との兼ね合いということになるのだろう。ドラフト下位で取れるならばこの指標はおいしいが、上位の枠を割くとなるとちょっと躊躇してしまう。
筆者:須田鷹雄
1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。netkeiba.comでは「
回収率向上大作戦」も担当している。