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魅せたアリュール

  • 2002年07月09日(火) 00時00分
 7月4日大井「ジャパンダートダービー」。ゴールドアリュールはまさしく脱帽の強さだった。好スタート。「時計の速い競馬にしたかった」という武豊Jは、そこでひと気合つけ自ら主導権をとりに行った。自身大井コースはなぜか重賞未勝利。、変にもまれる競馬が嫌だったのだろう。思惑通りスムーズな加速で道中悠々とマイペース。力が違うというしかない。1000m通過61秒7(帝王賞61秒4)は3歳馬とするとかなり厳しい。それでもアリュールはごく自然体の走りで、逆についていった後続の息があがる。武豊Jは直線も流さず追った。あと1ハロンで独走態勢。みるみる後ろがちぎれていく。圧巻の7馬身差。2000m2分4秒1はレースレコード。帝王賞カネツフルーヴとコンマ4秒しか違わない。


 ジャパンダートダービー(サラ3歳・定量・統一G1・2000m稍重)

 ○(1)ゴールドアリュール  (56・武豊)  2分04秒1
 △(2)インタータイヨウ   (56・秋山)  7
 ▲(3)プリンシパルリバー  (56・石崎隆) 1/2
  (4)エイシンセダン    (56・藤田)  鼻
 △(5)ジェネスアリダー   (56・桑島)  1/2
………………………………………………………………
 ◎(6)ノムラリューオー   (56・的場文)
 △(9)シャイニングボス   (56・鷹見)
  (11)シャドウスケイプ   (56・横山典)

 単150円  馬複390円  馬単500円
 3連複710円  3連単1720円

 日本ダービー5着。何よりその前ダート2連勝、京都・端午S、1分50秒6の時計(一昨年同レース・レギュラーメンバー51秒8)を考えると、この結果はある程度予測できた。それにしても…である。記者個人でいえば、初コースの馬にとって大井はやはりミステリーゾーンという意識が強かった。現実に一昨年アグネスデジタル、謎の大敗。が、今回アリュールは、深い砂も初ナイターもまるで問題にしなかった。心身ともきわめてタフ、そして完成度が高いのだろう。ダート巧者によくある筋骨隆々というタイプではなく、むしろ手足がすらりと長めにみえる。較べるならアグネスデジタルは短〜中、こちらは中〜長距離ベターか。レースぶりがより重厚で力強い。このまま期待通り成長すれば「クロフネ級」の評価も現実味を帯びてくる。

 2着インタータイヨウ。スタートで致命的な出遅れ、4コーナー大外を回る大井としては最悪に近いレース運び。兵庫CS優勝、ユニコーンS2着の切れはやはり本物ということだろう。今年はその上に別次元の怪物がいた不運。人気薄で4着したエイシンセダンも厳しい流れを捲り気味に追い上げただけに力がある。父フジキセキ、青鹿毛の見映えのする馬体で、いかにも充実中を感じさせる。

 南関東馬。期待したノムラリューオーは外枠ながらスッとインに切れ込んでアリュールの3番手。まさしく的場文男流、強気強気の競馬だった。結果失速はペースがきつかったためだろうが、夢を見させてもらった意味では悔いがない。ただ現時点ではリューオー自身、記者がイメージしていたほどのスタミナとパワーがなかった。

 プリンシパルリバー、ジェネスアリダー、2頭ともひとまず能力を出し切った。それぞれ2分5秒台、東京ダービーの時計を2秒以上詰めている。強い馬と厳しいレースを経験すれば、やはり大きな収穫があるということ。秋へ向け、もう一段パワーアップが課題だろう。

 さてゴールドアリュールの進む道。現時点では9月23日岩手「ダービーグランプリ」が有力と聞いた。そこにはユニコーンSの覇者・ヒミツヘイキがすでに出走を表明し、今から楽しみ。アリュール自身は決断しだいで「菊花賞」の選択肢もあり、そうなると今度は暮れのローテーション、「有馬記念」か「東京大賞典」か、とにかくさまざまな夢が浮かぶ。いい時代にいい馬が現われた、ごく素直にそう思う。芝とダート、その棲み分けなど必要としない革命児。むろんそれは父サンデーサイレンスの底力、偉業でもありそうだ。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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