第1回産地馬体検査に比べると注目度や、それに比例するマスコミの数も格段に少なくなる第2回産地馬体検査。日程も4日間から2日間となり、検査に訪れる2歳馬の数も初日の浦河・BTC会場が74頭、2日目の新ひだか・HBA北海道市場が117頭と、第1回の半分以下となった。
それでも検査に来る2歳馬の話題性は決して劣っておらず、POG本で話題となっていたような馬たちの姿も見かけることができた。
その中でも第2回産地馬体検査における一番の注目馬が、昨年のセレクトセール1歳セッションで、1億4500円(税込み)で、(有)ビッグレッドファームが落札した
マイケイティーズの08(牡2、父ロックオブジブラルタル)だ。
この日はコスモヴューファーム社長の岡田繁幸氏も会場に姿を見せ、「凄い馬。ものが違っている」と話しながら、古馬のような風格を備えたその馬体を見守っていた。
既に坂路での調教では古馬並みの時計を記録しており、今はデビューに向けての鍛錬が行われているという。デビューは札幌開催を予定しており、そこからクラシックを目指していくこととなりそうだ。
同じくビッグレッドファーム関係馬では、
タイグビジンソウの08(牡2、父キングマンボ)も札幌開催でのデビューを予定。この馬も動きが素晴らしく、一度、夜間放牧に入れて馬体を回復させたこともあってか、更に身も入ってきた印象もある。
ファストルックの08(牡2、父アグネスタキオン)も札幌デビュー組。調教では先述のマイケイティーズの08と遜色ない動きを見せていることからしても、この馬もかなりの逸材と言えそうだ。
注目のディープインパクト産駒は2日間合わせて3頭が受験。
オータムメロディーの08(牝2、父ディープインパクト)は、アクティファームで育成中。気性も前向きで、速い時計を出したときの動きを高く評価されている。
シャイニンレーサーの08(牡2)と
プリンセスオリビアの08(牡2)は、社台ファームの生産育成馬。2頭ともダートコースでハロン17から18秒の時計で乗り込みを続けられており、仕上がりも順調。この3頭はまだデビュー時期こそ未定だが、秋競馬にはその姿を見せてくれるのではないだろうか。
BTC随一と言える在籍頭数を誇る吉澤ステーブルだが、第2回産地馬体検査にも多くの2歳馬を連れてきていた。
スプリンターズSを制したカルストンライトオの半弟が、
オオシマルチアの08(牡2、父アフリート)。坂路でも13秒台の時計を出しているように、スピード、仕上がりとも申し分ないとのこと。兄と同じような短距離のスピード馬としての期待も大きい。
今年の東京ダービーの優勝馬、マカニビスティー(牡3)をの半弟が、
サクセスウイッチの08(牝2、父キングカメハメハ)。兄はダートで大成しているが、弟は芝向きの軽い走りを見せている。アグネスタキオン産駒の2頭、
ヴェルヴェットクイーンの08(牡2)、
スウィーピングズの08(牡2)も実戦並みの時計を出しており、入厩の知らせを聞くのも間近になりそうだ。
静内会場にはノーザンファーム育成馬(早来、空港)の姿も見られた。その中でも第2回産地馬体検査一の馬体をしていたのが、
マリーシャンタルの08(牡2、父キングカメハメハ)である。筋肉量が特に目を惹くが、それでも速い時計は出してはいないとのこと。もし、入厩に向けてピッチを上げてきたら、どれほどの動きを見せてくれるか楽しみになる。
タイキロザリオの08(牡2、父フジキセキ)は、坂路でハロン14秒台の時計を楽に出している。
フォルクローレの08(牡2、父シンボリクリスエス)も坂路で調教が進められており、行きっぷりの良さも高く評価されている。将来性が高そうなのが、
マッチザピースの08(牝2、父ゼンノロブロイ)。ここに来ての馬体の成長が著しく、それに連れて乗り味も良くなってきたという。父の産駒には成長力に溢れているだけに、これから更に時計も詰まっていくに違いない。
筆者:村本浩平
1972年北海道生まれ。大学在籍時代に「Number ノンフィクション新人賞」を受賞。現在はフリーライターとして活躍。特に馬産地ネタでは欠かせない存在。