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「即戦力」の扱いにも長けた松田博厩舎

  • 2010年07月16日(金) 11時00分
 あまり早い時期から2歳を動かすイメージのない松田博厩舎だろうが、昨年は夏の小倉でタガノエリザベートがデビュー勝ち。黄金世代の一角を担ったアドマイヤムーンは函館で新馬勝ちを飾り、同期のドリームパスポートも小倉デビューを果たしている。もう少しさかのぼればタガノテイオーも夏の札幌から始動した。意外といっては失礼かもしれないが、“即戦力”の扱いにも長けた厩舎なのだ。

 そして、今年のトップバッターとなりそうなのがタガノロックオン。半兄はタガノジンガロ、半姉にタガノクリスエスと堅実に走る血統馬だ。「早い時期なら芝もダートも関係ないだろう。能力がある馬はどんな条件でも走るし、ダメならそれだけの馬ということ。気性も勝っているし、ジンガロが入厩した時よりもずっといい。これは走るかもしれんぞ」と松田博調教師も手ごたえを感じているようだ。順調なら小倉開催で姿を見せることになる。

 札幌にはペラフィネ(母キッズトゥデイ)がトップバッターとして入厩。「最初に見た時は頼りない感じもしたが、今はだいぶよくなった。牧場でも順調にきていたようなので」と師。

 そして、POGでも注目を集めていたマルセリーナもこれに続いて入厩する。「照屋社長(社台RH代表)が『マイルまでならどこを使っても勝てる』と言っていた。まあ、そのとおりになるかは入厩してみないことにはわからんが、馬は幅も出てたくましくなったな」と順調さをうかがわせるコメント。早期デビューを果たした偉大な先輩たちに続いて行けるのではないだろうか。

 ラバーフローが折り返しの未勝利戦を勝ち、早くもこの世代の初勝利を飾った西園厩舎。その後も二の矢、三の矢が待ち構えている。

 中でも大きな期待をかけられているのがJRA育成馬の母イブキフリッカー(牡、父ファルブラヴ、馬名「ムジョウ」の予定)だ。「この前、ブリーズアップセール関係者に『あの馬走るらしいですね』と聞かれたんだ。やっぱりビッグレッドF(鉾田)から話がもれているのかな。牧場でも『これはすごい』と言っているようだし、馬も父に似てがっしりとしている。向こうでも順調なようだし、4週目の小倉のダート1000mに間に合えば。うちはタムロチェリーがそうだったように、育成馬との相性もいいから」と西園調教師。

 また、小倉に2週目にはその「タムロ」冠のタムロプリンセスがデビュー予定。「稽古をやり出したらハミの掛かりがどんどんよくなってきた。距離も持ちそうなタイプ」とのこと。また、2週目のダート戦にはマイネルガネーシャがスタンバイ。こちらはゲートから12.5−11.9秒と鋭いダッシュをみせている。「1000mならこのスタートが生きるでしょう。血統は地味かもしれませんが、これは化けるかもしれません」と、こちらにも大きな期待をかけていた。

 中竹厩舎にはアンシャンタン(母Celtic Melody)が入厩。まだ、馬体そのものには幼さが残るが、なかなかスケールは大きそう。中竹調教師も「素晴らしい。これほどまでによくなるとは思ってもいなかった」と大絶賛。「父の感じは出ているが、芝で走れるタイプだと思う」というから、日本でもいよいよアンブライドルズソング産駒が爆発するか。

 山内厩舎も2歳馬が続々入厩してきたが、現状で期待できそうなのはマスターグレイマンか。入厩直後は体調が思わしくなかったが、1番辛い時期は乗り越えたよう。「血統的にも短いところ向きだろうけど、ここにきてよくなってきたね」と田原助手。

筆者:吉田竜作
 「日本一のPOG記者」との異名を持つ大阪スポーツ記者。

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