スマートフォン版へ

海外トレーニングセール組いよいよ登場

  • 2010年08月13日(金) 11時00分
 夏真っ盛りというのはPOGネタもあまり無いわけで……。しかも最近は日刊紙がしょっちゅう2歳馬情報をやっているので、日々トレセンにいるわけではない私のような立場からは、速報性のあるネタはあまり提供できませぬ。申し訳ない。

 とりあえず私の赤本指名馬10頭の中でここ最近動きがあった馬といえばノーブルジュエリー(母ノーブルステラ)。函館に入っていたので札幌で下ろすのかと思いきや、結局栗東へ移動。秋イチあたりを目指すことになるのでは。

 あと赤本で推されていたところではアドマイヤコリン(母シルクプリマドンナ)。こちらは1札の終わりか2札のはじめのデビュー。あまりガサはない馬なので、この時期の始動にもフィットできそう。

 さて、ここからはコアファン向けの話を。今週日曜にアースグリーンが札幌ダート1700mの新馬でデビューする予定だが、これが(私の見落としがない限り)この世代の海外トレーニングセール組最初の出走となる。

 昨年はアースサウンドがやはりお盆にデビュー(初戦は2着)。着地検疫の期間を考えると、これがほぼ「最短距離」でのデビューである。

 かつては海外トレーニングセール組(特にアメリカ)というと、いったん楽をさせて1から組み立てるというのがセオリーだったが、最近では購買時にビキビキに仕上がった馬を買わず、その代わり早めに使い出すというやり方も出てきている。

 トレーニングセール組の話が出たついでに、今回は「裏トレーニングセール組」とでも呼ぶべき馬もご紹介しよう。

 一般的に主取馬を再交渉する場合、正規のポストセール購買の手続きを踏んで、セールの公式記録に残る形で買うのが日本人のやり方である。

 しかし中には、セール当日に売り手がうんと言わず、いろいろ模索したあと結局手詰まりになって「やっぱり売ります」といったケースもある。

 こういった馬は、自家生産馬や1歳セール組に比べて仕上がり早であることも多いため、穴で狙ってみると面白い存在にもなる。

 今年のファシグティプトンコールダーセールに上場されていた馬ではバージニアキャット(母Wood of Binn)がそんな1頭。ゲート合格が遅れたので今週の新馬に間に合うか微妙だが、間に合えば今週、だめなら次のマル混を待ってデビューとなる。(追記:ゲート試験に通らなかったので、デビューは先送りとなりました)

 もう1頭、実は私自身も購買過程に気づいていなかったのだが、珍しいパターンで日本に入った馬がいる。

 まだ馬名がJRA-VANデータに反映されていないが、Suave×Our Resurgenceの牡馬だ。

 最初に上場されたファシグティプトンコールダーセール当時の時計は10秒4/5と標準レベルだが、とにかくフォームがよかった。多少うるさいところはあったが、常歩でも身のこなしがよく、6万ドル主取りという結果が不思議だったほど。私がもうちょっとお金を持っていれば、自分で買ってアメリカで使ってみたかったくらいだ。

 その後同馬は、バレッツマーチセールに上場。こちらでは10秒1/5の時計を出し、めでたく7万ドルで購買された。関西入厩予定で、デビュー時期によって新規開業厩舎か、既存の厩舎かどちらかからのデビューとなる。

 ファシグティプトンコールダーセールで主取り→バレッツマーチセールに上場という形が制度上可能だということも、正直なところ私は初めて知った。またその過程を経た馬が日本に入ったのはおそらく史上初めてだろう。
(お詫び:珍しい購買過程だったため、最初アップした原稿では間違った内容となっていました。関係者皆さまにお詫び申し上げます)

 日本の育成場によると、6月にフレグモーネで休ませたぶん早いとはいえないが、かといって年越し云々ということにはならなさそう。ダート短距離向きで、馬そのものの評価は高いようだ。個人的にも応援していきたい1頭である。

筆者:須田鷹雄
 1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。netkeiba.comでは「回収率向上大作戦」も担当している。

須田鷹雄+取材班が赤本紹介馬の近況や有力馬の最新情報、取材こぼれ話などを披露します!

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング