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デビューするのも楽じゃない!?

  • 2010年08月20日(金) 11時00分
 POGはもちろん、一口出資馬であったり知り合いの馬主さんの馬であったり、色々な馬がデビューしている今日このごろ、ふとしたきっかけから考えたことがある。

 喜ぶべき夏デビューも、状況によっては番組の選択肢に苦しむということである。

 たとえば先週の札幌。今年はじめてのダート中距離新馬であるダート1700mが組まれた。このレースはマル混で、アースグリーンロザージュがマル外として出走していた。

 2頭とも大敗した馬なので皆さんあまり興味が無いかもしれないが、あくまで例として考えていただきたい。

 実はこのレース、想定が日を追うごとに13→14→16頭と増え、最終的には13/16の抽選だった。

 結果的に除外になった3頭は内国産馬ばかりだったのだが、仮にマル外がここで除外になってしまうと、マル混の新馬は今開催最終日まで芝しかない(3週目に未勝利のダート1700mはある)。除外でなく、調教本数が足りない場合でも、ダートにこだわるならここを使うしかない。

 4週目のダート1700m新馬がマル混であっても誰も困らないのだが、マル混のレース数比率の関係でJRAもここに無駄弾を撃つわけにはいかないのだろう。

 こうして考えてみると、「ダート中距離っぽいマル外」はピンポイントの仕上げをしてこないと納得のいくデビューができないということになる。仮に内国産馬であっても、ダート短距離馬(1000か1200mに適性のある馬)は早い仕上がり大歓迎である一方、距離が欲しくなったらあまり自由はきかない。

 先述したマル混の除外問題(?)はドラフト時点で3か月離れた新馬の想定頭数に関わるものだからPOゲーマーとしては対策もヘチマもないが、一方でドラフト時点において本気の検討をしなくてはならないという問題もある。

 それは小倉新馬の距離バリエーションの無さだ。

 圧倒的に芝1200mとダート1000mで、あとは芝1800mがちょっぴり。まあこれ自体は函館あたりと大差ないが、小倉短距離は血統によって合う・合わないがある。

 小倉芝1200mはシンボリクリスエス(1.1.3.39)、ネオユニヴァース(1.1.0.38)、タニノギムレット(1.3.7.44)、スウェプトオーヴァーボード(4.0.2.39)などが連対率10%未満(古馬も含めた全産駒成績)。ネオやクリスエスは距離自体がダメでもあるが、ギムレットやスウェプトはイメージよりも走っていない印象だ。

 同様にダート1000mはクロフネ(1.0.2.24)、スウェプトオーヴァーボード(1.1.6.14)が苦戦している。

 これらのデータは馬主さんも調教師さんも気づかないままであることが多いだろうが、例えば芝馬の場合、「1200mは短いが1800mは長い」とか「小倉向きの器用さがない」といったことはいくらでもあるはずで、にもかかわらず番組に制約されて出てくるというケースも考えられる。

 そのリスクを避けるためには新潟という選択肢があるが、関西馬を新潟に使うのは容易でない。特別馬房が好きに手に入るわけではないし、さらにその先に除外リスクもある。8/14の芝1600mは除外なしだったが、8/15の芝1400mは1頭除外。8/7の芝1400mは、私の記憶が確かならば前週の除外組も流れてきて最終的に18/28だったはずだ。

 除外はともかく、馬房確保のほうは本当に難しい問題。そう考えると、「実は小倉に向かない関西馬」については慎重になる必要がある。東西でいえば関西馬のほうが人気はあるのだからなおさらだ。

筆者:須田鷹雄
 1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。netkeiba.comでは「回収率向上大作戦」も担当している。

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