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週刊サラブレッドレーシングポスト

  • 2002年07月31日(水) 00時00分
 ケンタッキーは、アメリカにおける競馬とサラブレッドのメッカである。牧場を訪れればきら星のごときリーディングサイヤーや良血の繁殖牝馬に出会えるし、街中のサラブレッドパークや、ケンタッキーホースパークなど、馬をテーマとしたパブリックスペースも興味深い。

 そんなケンタッキーにまた1つ、出掛けたら立ち寄らずにはいられない魅力的なスポットがオープンした。キーンランドの厩舎地区に隣接したエリアに建てられた、『キーンランド図書館』である。

 これまでもキーンランドにはクラブハウスに図書館があったのだが、新たにオープンされた施設は、床面積にしてこれまでの2倍以上。インターネット装備のゆったりとした閲覧室をもった、極めて快適な空間が出来上がった。もっとも建物は新しいものの、書架に黒のクルミ材を用いた内装はこれまでのものを踏襲し、訪れた人には"新しさ"という違和感を持たせない配慮がなされている。

 図書館が持つ数多いコレクションの中でも、これは凄いと思わせるのが、競馬雑誌や競馬新聞のバックナンバーである。週刊誌のブラッドホースが1929年のものから、日刊紙のデイリーレイシングフォームにいたっては1896年のものから、100年以上にわたるバックナンバーが取り揃えられているのである。新聞の保管がどれだけ手間とスペースを要するかは、実際にやってみた人にしかわからないだろう。弊社では、レイシングポストのバックナンバーは1年分ぐらいしか取っていないし、JRAの図書室でも、海外の新聞は過去2年分の保管があるのみだ。100年以上の新聞を保管している書庫というのを、一度ぜひこの目で見てみたいものである。

 キーンランド図書館のもう1つの目玉が、写真の在庫が豊富なこと。レースシーンや名馬の肖像など、20万点のガラス板やフィルムネガが保存され、そのいずれも再使用が可能な状態になっているというから、極めて貴重な文化資料である。

 開館は月曜日から金曜日の、朝8時30分から午後4時30分。入場は無料である。機会がある方は、ぜひ一度足を運ぶことをお薦めしたい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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