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有力馬に酷暑の影響

  • 2010年09月10日(金) 11時00分
 人間でも辛い残暑だが、これはサラブレッドたちにも影響を及ぼしているようだ。

 野中厩舎の牝馬のエース級と見られているピクシープリンセスは「函館に入れてから栗東に連れてくる」(野中調教師)というのが当初のプランだった。しかし、函館競馬場が開場しているのもあとわずか。その間に暑さがおさまるかとなると…体感的にはかなり微妙と言えそう。そのため「暑さが和らいだら栗東に直接連れてくる」と予定が変更となった。もっとも、馬の方は野中調教師の予想以上によくなっているようで「やっぱり動きが柔らかい。気性もどうなるかと思ったが、おとなしい。これは思った以上によくなってきたな」と絶賛。新進厩舎の牽引車となれるかに注目が集まる。

 松田国厩舎も少なからず暑さの影響をこうむっているようだ。一度は入厩してゲート試験に合格したハギノクレバー。その後、放牧に出されているが、「今の暑さのままではなかなか連れて帰ってこられない」と松田国調教師。足止めを食っているのは放牧馬だけではない。

 順調に調教されているヴィジャイダノンハローといったあたりは「もう時計も出ているし、これ以上調教ばっかりやるというわけにはいかない。いつでも使おうと思えば使えるくらいに仕上がっている」という状態。目標としているデビュー戦が4回阪神開催なのだから、本来なら短期放牧に出してひと息入れてもいいところだ。

 しかし、こちらも「放牧に出すなら涼しいところに出したい。でも、栗東の近くではどこでも暑いし、かといってこの時期に北海道に帰すわけにもいかない」ということで、栗東の厩舎に残っている。もっとも、施設の整った栗東にいる分には何とでもなるのだが。

 肝心の馬の方だが、ヴィジャイは「実戦を想定した追い切りを2度もこなした。追い切りではいつも持ったまま。坂路でも52秒台が出てしまうし、古馬と併せても先着してしまう。これ以上やるわけにもいかないよ」と松田国調教師がうれしい悲鳴をあげるほど。「大型馬ですが、それを思わせないすごい跳びをする」というから相当なスケールがあると見てよさそうだ。

 ダノンは「少し苦しい時期もありましたが、乗り越えてくれた。450キロから460キロとあって、スピードの乗りがいい」と、こちらも高評価。順調ならともに阪神開催で姿を現すことになりそうだ。

 中竹厩舎には2頭のディープ産駒が入厩。1頭は良血馬ダコール。もう1頭はフリオーソの半弟にあたるエルヴィスバローズだ。

 現在はともにゲート練習中だが、研修中の角田調教師が「すごいフットワークをする」とべた褒めするのはダコールの方。中竹調教師が「柔らかくて皮膚の薄いきれいな馬。顔つきもいいねえ」といえば、白倉助手も「いかにも芝で距離があるところ向きという感じ。追ってビュッと伸びてくれそう」と讃辞しか出てこない。

 エルヴィスは「やっぱりダートっぽいね」(伊藤助手)とはいうものの、動きは思ったほど硬くはない。速い追い切りを積んでいけば変わってくるのではないか。

 札幌デビュー予定のデボネアは「初めての速い追い切りで上々のタイムが出た。かき込んで走る感じなのでダートから使うが、動きや走りそのものは素軽いんだ。新馬戦から勝つようなら札幌2歳Sも視野に入れて行きたい」と中竹調教師。芝をこなすようなら、一気にクラシックも見えてきそうだ。

 松田博厩舎ではレーヴディソールがデビュー間近。一度栗東に戻る松田博調教師に「この馬の新馬戦は見ておきたい」と、札幌にとんぼ帰りまでさせるのだから相当な器と言えるだろう。追うたびに柔らかみが出てきたというのも好印象。初戦から楽しみがもてそうだ。

筆者:吉田竜作
「日本一のPOG記者」との異名を持つ大阪スポーツ記者。

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