函館2歳Sが早い時期(各馬デビューして最大で2ヶ月)に移って、もっとも目立ってきたパターンは、初戦勝ちした1戦だけのキャリアでは苦しいこと。01年のサダムブルースカイはここが3戦目。00年のマイネルジャパンも3戦目。99年のエンゼルカロは4戦目だった。
今年、勝ったアタゴタイショウも4戦目。それもデビュー戦ではセイウンバクフーン(1戦のキャリアで3番人気。今回7着)に完敗していた馬だった。デビューして間もない同士の2歳戦、素質最優先にはちがいないが、実戦を一度経験しただけの馬と、2〜3戦した馬には大きな「経験の差」が生じるということだろう。
たまたまの面はあるにせよ、今回の1番人気馬サマーオブキングスもキャリア1戦だけ。まったくいいところがなかった。
これが、たとえば新潟コースや、小倉などで、1分8秒そこそこの決着になるレースなら、キャリアうんぬんはいわれないだろう。1分8秒台のレースなら、そういうスピードで乗り切れる馬は限られているからだ。
ところが悪いことに、函館2歳Sは今年もそうだったが、1分11秒台の決着になり、スピード能力の優劣の勝負ではない。
また、今年は古くからいわれる2歳新馬戦の鉄則も思い起こさせた。人気のサマーオブキングス、セイウンバクフーンなどが該当するが「デビュー戦を差して勝った馬は過信するな」という金言だ。鮮やかにはみえても、スピード能力上位ではない危険が大きいからである。差して勝つのはセンスがあると同時に、初戦の弱敵相手に先行するスピードがなかったことを示している。
2番人気の公営馬フジノタカネは、キャリアを信じもっと強気に出るべきだったろう。折り合ってタメても意味のないレースだった。