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早生まれ狙いはもう古い!?

  • 2010年10月01日(金) 11時00分
 早生まれはもはやPOGにおいてアドバンテージではない、ということが定説になりつつある。しかし、実際にデータを取ってみると、まだだいぶ有利のようにも見える。

 試しに、現3〜5歳世代の2歳戦(つまり成績が確定している)について見てみよう。

※( )内は勝率、連対率、1走当たり賞金の順
1月生(10.5%、18.9%、154万)
2月生(9.6%、17.8%、125万)
3月生(7.3%、14.9%、94万)
4月生(7.3%、14.6%、99万)
5月生(6.2%、13.6%、87万)
6月生(5.3%、12.1%、84万)

 これを3歳春まで(これでも成績は確定している)拡大してみるとどうなるか。

1月生(8.7%、16.6%、142万)
2月生(8.0%、15.7%、111万)
3月生(7.1%、13.8%、96万)
4月生(6.8%、13.6%、96万)
5月生(6.2%、13.3%、82万)
6月生(5.5%、11.3%、93万)

 これでもなお「早生まれ狙い」が古い戦略のように言われるのはなぜなのだろうか?

 ちなみに、昭和から平成に移ろうという時期のPOG、現23〜25歳世代の2歳〜3歳春における生月別成績はこんな感じだった。

1月生(35.3%、41.2%、285万)
2月生(9.6%、19.9%、131万)
3月生(9.0%、18.1%、108万)
4月生(9.0%、18.3%、111万)
5月生(8.5%、16.6%、94万)
6月生(9.1%、16.8%、112万)

 1月生まれが抜けて見えるが、これは3頭しかいない該当馬が2勝ずつをあげたためのものである。2月とそれ以降についてはむしろ今よりも平坦に思える。

 試しに、さきほど出した現3〜5歳世代の3歳春までの成績を、オープン特別と重賞に限定して出してみるとこうなる。

1月生(9.9%、25.3%、744万)
2月生(8.5%、17.8%、448万)
3月生(7.1%、13.0%、452万)
4月生(7.7%、14.5%、487万)
5月生(4.4%、9.8%、333万)
6月生(14.3%、21.4%、926万)

 この期間は少ない6月生まれから重賞勝ち馬が3頭出ているのでそこがぼっこり出っ張っているが、勝率での1,2月生まれの優位と、1走あたり賞金での1月生まれの優位は変わらない。

 いまでも早生まれは重視する価値があると思うのだが、流行らなくなったのはなぜか? ひとつ思い当たるのは絶対数が増えたことである。

 さきほど23〜25歳世代では出走した1月生まれが3頭しかいなかったと書いたが、3〜5歳世代では62頭いる。

 2月生まれで3歳春までに出走した馬は23〜25歳世代だと230頭だったのだが、3〜5歳世代だと1888頭いる。

 参考までに、その中間にあたる13〜15歳世代だと、同期間の出走馬で1月生まれは81頭(ただしそのうちマル外が多く50頭、内国産馬は31頭)、2月生まれは640頭だった。

 早生まれそのものの数が増えたために「走らない早生まれ」が目立つようにもなったし、一方で技術の進歩により遅生まれを早い時期から走らせてくる牧場も増えた。その結果として「早生まれ狙いは古い」という印象が生まれてきたのだと思うが、あくまで生月をファクターとして考えるならば、早生まれはやはり侮れないところがあるのではないかと思う。

筆者:須田鷹雄
 1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。netkeiba.comでは「回収率向上大作戦」も担当している。

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