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真夏の激戦

  • 2002年08月20日(火) 11時56分
 8月14日、川崎「報知オールスターカップ」は、フジノテンビーの圧勝だった。道中馬なりの2番手、3〜4コーナー、逃げるカシマダインをほんのひと気合で捕え、直線中ほどからは早々と独走になった。2着コアレスフィールドに3馬身差。1600m1分41秒5、昨年スピーデイドゥ41秒6を考えるとレベルはまるで物足りないが、ひとまず見た目のインパクトは強かった。デビュー時、芝G2デイリー杯を勝ち、ユニコーンS2着の天才復活。そして再生に絶対の自信を持つ川島正行厩舎の真骨頂。転厩直前の不振が嘘のように、レースぶりがはつらつとしている。

 報知オールスターC(サラ3歳以上・別定・1600m良)

 ◎(1)フジノテンビー    (55・佐藤隆)1分41秒5
 ○(2)コアレスフィールド  (54・張田) 3
 △(3)ピーエムタッチ    (54・佐藤祐)11/2
 ▲(4)スピーディドゥ    (55・見沢) 3/4
 △(5)ミリオンヒット    (55・鷹見) 11/2
…………………………………………………………
  (6)カシマダイン     (54・納谷)

 単220円 枠複410円 枠単630円
 3連複1080円 3連単3020円

 「追ってビュッと伸びる感じはないけれど、最後までいい脚を長く使う。強い相手と戦っていた地力でしょうね」と佐藤隆騎手。いわく平均ペースのスピード型。懸念されていた地方のダートも難なくこなし、見事にトレードで水を得た。今後順調なら、統一ダートG短〜マイル路線、主役の1頭にもなりえるだろう。ローテーションは、9月25日大井「東京盃」→11月4日盛岡「BCスプリント」と、すでに明言されている。

 コアレスフィールドは道中勝ち馬の直後で折り合い、しかし勝負どころの反応がひと息遅れた。「ムラっ気のある馬で、今日はまあまあでしょう」と張田騎手。前走サンタアニタT2着はベルモントアクター相手の激走で、その直後だけに大事に乗った面もあるだろう。8歳の年齢を考えれば十分合格点がつけられる。ピーエムタッチは器用さを要求されるとやはり辛い。デキのよさで3着したが、真価発揮は1800m〜2000mの中〜長距離だろう。昨年ほど動けなかったスピーディドゥは、おそらく馬自身が緩やかな下り坂。ミリオンヒットは本来末一手のムラ馬で、同じ左回りでもじっくり乗れる船橋コースが向いている。カシマダインは、今後スピード型として多様な方向を探りたい。行くだけ行く作戦では今日の結果からも限界がはっきりした。

    ☆        ☆         ☆

 お盆休みの14〜16日は、各地で統一Gレースが矢継ぎ早に行われた。筆者は開催中、場外発売された川崎競馬場でテレビ観戦。佐賀「サマーチャンピオン」はフジノコンドルが勝ち、旭川「ブリーダーズGC」はアルアランの圧勝。さらに盛岡「クラスターカップ」はサウスヴィグラスがレコードで制している。ただし当然ながらレースには勝者の影に敗者があり、すべてハッピーエンド、うなずける結果でもない。光と影。大げさにいえば無常感のようなもの。人気で殿り負けを喫したカチドキリュウ。ゴール前あっけなく失速、連対までも外してしまったトーホウエンペラー。いったい彼らはどこでどう自分のリズムを崩したのか。私見だが、昨年ノボジャックと酷似した道をひた走るサウスヴィグラスも、ディヴァインシルバーを交わすのに、ことのほか手こずったようにみえた。競走馬の強さ、勢いはやはり永遠ではありえない。次走が大目標「BCスプリント」。意外に厳しい結末もあるような気がしている。

    ☆        ☆         ☆

 8月21日大井「アフター5スター賞」。注目のベルモントアクターは残念ながら回避となった。「右トモに少し疲れが出ているので様子をみたい。でも心配なものじゃないですから」と出川克己調教師。それでも2週間稽古を中断するというから、レースを使えるのは早くて10月、目算が少し狂ったのは事実だろう。グランプリ「東京大賞典」をめざすには収得賞金の関係でまだまだ厳しい立場にある。不敗神話も含め、ファンの大きな期待を背負う馬。順調に立て直し、早い時期に重賞をもう1勝。なんとか夢が叶うといいのだが…。

 アフター5スター賞(サラ3歳以上・別定・1790m)

 ◎エーブマックィーン (54・的場文)
 ○ストロングゲット  (55・石崎隆)
 ▲キングリファール  (55・佐藤隆)
 △ゴールドマイニング (56・一ノ瀬)
 △オンユアマーク   (55・鷹見)
 △スタートザウェイ  (54・山田信)
 △ユキノエイス    (55・宮浦)

 平成6年、創設第1回を天才ランナー・ツキノイチバンが制し、以後ツキフクオー、サプライズパワー、ゴールドヘッドなどビッグネームが勝っている。それでも超A級が出走しない以上、主役は夏の上昇馬。この時季はやはり勢いの差が勝負を分ける。

 エーブマックィーンは、単なる上昇馬というより、一流馬の素質、スター候補の雰囲気を生まれながらに持っている。デビューしたJRA11戦未勝利。しかし転じた新潟公営で別馬のような8連勝、鳴り物入りで昨年春、南関東へ転厩してきた。以後13戦10勝。とりわけ今季5月からの4連勝はズバ抜けた強さで、心身とも身が入った印象が濃い。血筋はメジロマックィーン×ノーザンテースト、500キロを超す芦毛の巨漢。スピード、競馬センスに加え追ってからも味がある。

 ストロングゲットもまだ底を見せぬ成長株で、前走初重賞サンタアニタTをベルモントアクターの3着だった。末脚強靭。先に抜け出す的場文、追いすがる石崎隆。例によってこの二人の勝負は白熱が予想される。折り合いに進境をみせる快速馬キングリファールが3番手。台風一過の軽い馬場に強そうだ。大井記念勝ちゴールドマイニング、同2着オンユアマークは本来もう少し距離がほしいか。3連複、3連単で狙いたいのは、しぶといスタートザウェイ、復調気配ユキノエイス。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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