東京スポーツ杯2歳Sは、向正面を10番手以降で通過した馬の1〜3着となった。1000mの通過が60.1秒、上がりが47.2秒-35.2秒だから、前崩れだったわけではない。それを差し切った上位馬は強い……と考えたくなるところだが、果たしてその理屈が成り立つのだろうか。
2000年以降、芝1800m以上の2歳重賞を差し・追い込みで連対した馬を対象に見てみよう。
4角11番手以下から連対した馬は
リフトザウイングス以前に7頭。ただし1頭はそのレース後出走していないので実質6頭だ。
その6頭のうち、その後POG期間の重賞で好走したのは
フォーカルポイントだけ。他に
アドマイヤマックスが3歳秋以降に活躍している。
一方で気になるのが、残る4頭は好走がそれっきりになっていることだ。
アドマイヤビッグ、
スムースバリトン、
オリエンタルロック、
サダムイダテンといずれも当該レースを最後に重賞で馬券に絡んでいない。
リフトザウイングスをPOGで推している私としては知らないでおきたかった情報だが……まあリフトザウイングスが早熟タイプということはないと思うのだが、後方からの競馬が指定席になると、常に位置取りのリスクは抱えることになってしまうだろう。
一方、「差し」にカテゴライズされるような馬たちの中からは、その後大出世する馬が出ている。
まずは
ジャングルポケット。札幌2歳S、ラジオたんぱ杯ともに差して連対し、後にダービーを制した。
ダービー馬ということでは
ロジユニヴァースも条件に合致する1頭。皐月賞馬では
ヴィクトワールピサが該当する。
他に
アドマイヤムーン、
ナムラマース、
フサイチホウオー、
フライングアップル、
ブレイクランアウト、
ペールギュントが集計の起点となったレースより後にPOG期間内の重賞を勝っており、
サクラプレジデント、
タガノテイオー、
テイエムリキサン、
ナカヤマフェスタ、
ヤマノブリザードが重賞2着。集計の対象となりながら、その後のPOG期間内重賞で連対が無かった馬は6頭で、全体の3分の1以下だ。
打率の面でも長打の飛距離でも、「差し」組の活躍ぶりはなかなかであり、
サダムパテックの将来は明るいと感じられる。
あとは上がりの速い競馬にどれだけ対応できるかだ。同馬はデビュー戦で2着に敗れているが、その新馬はマイル戦にしては流れが緩く、上がり2ハロンが11.1-11.1秒というレースだった。
フジキセキ産駒だから上がり勝負に全く適性が無いということはないだろうが、一応ここだけが懸念材料。もし次走でスローの流れを差し切るようだと、来春はますます楽しみになってくる。
筆者:須田鷹雄
1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。netkeiba.comでは「
回収率向上大作戦」も担当している。
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