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赤本で推した馬を振り返る

  • 2010年12月03日(金) 11時00分
今回は「赤本掲載馬の近況報告」としては今シーズン最後の回ということで、自分の赤本推奨馬(赤本のP156掲載)を改めて振り返っておきたい。

 嬉しい誤算とも言えるのが、ちょうど新馬勝ちしたばかりの1位指名馬アサクサショパン(母ファンジカ)。ディープインパクト一色のシーズンになるだろうということで、敢えてディープ以外から選んだ馬だった。デキには自信があったが、リスキーな選択(ネオユニヴァース産駒)であることは百も承知。特にデビュー戦は上がり勝負になってキレ負けすると思っていたのだが、番手抜け出しで勝ってしまった。

 2位のリフトザウイングス(母レンドフェリーチェ)は既に重賞2着。正直切れ味勝負はどうかというタイプで、これからはレース展開ごとに好走凡走の極端な馬になるのではと思う。

 3位のロベルタ(母グレースアドマイヤ)はデビュー戦3番人気11着。兄ヴィクトリーは「行きすぎる」という気性だったが、こちらは気性の難しさが「行かなさすぎる」方向に出ている印象。とにかく気性でしょうねえ……。

 4位のキミニアエタキセキは、小倉でドンと稼げず、しかもイケてなかった馬列伝入りでもないという半端な結果に……。

 7位のエーシンイグアス(母エイシンマリアンナ)はまだ未勝利だが、最終的には期間内1勝くらいの微妙なところに収まりそう。

 9位のトーセンラー(母プリンセスオリビア)、10位のターゲットマシン(母ハンターズマーク)はいずれも新馬勝ち。ディープインパクト産駒は無理にドラ1クラスを奪い合わなくても、このくらいの感じのところを狙うのがよいような気がする。他のライターと指名がかぶって先に取られた他のディープインパクト産駒も、エアジョイント(母エアデジャヴー)がスベっているもののドナウブルー(母ドナブリーニ)、コティリオン(母ジェミードレス)、サトノペガサス(母クラシックローズ)と軒並み勝ち上がっている。

 残った5位のノーブルジュエリー(母Noble Stella)、6位のマイネルラピド(母ジョーセクレタリー)は一頓挫あってデビューが予定より遅れたが、ちょうどこの原稿を書いている直後にデビュー予定。後者は血統的にもっと早く使いたかったが……。8位の母スリーダイメンションズだけはもう少し時間がかかりそう。

 さて、既に何頭か触れたが、候補馬30頭リストに入れたものの他のプレイヤーに取られたり、リストを使い切らなかった馬はどうだろうか。

 指名漏れで一番痛いのはレーヴディソール(母レーヴドスカー)。まあ、1位にできなかった時点で取りようがなかったのだが。先述したコティリオンも、兄を1位にした経緯からもっと上に入れて指名しておくべきだった。

 須田30頭リスト下位の利用されなかった部分には例年ひょっこり当たりが入っていたりするのだが、今年は不発。20位以下で中央で勝ちあがっているのはカレンデイムーン(母チャールストンハーバー)のみ。ちなみに12月最終週か年明け開催で復帰予定。同じカレンのカレンミロティックは新馬4着後に球節が腫れたり蕁麻疹が出たりしていったん出したが、年明け早々くらいには戻ってきそう。よほどのスローでなければ次は勝ち負けになるかと。

 その他のリスト下位勢は、とにかく未出走馬が多すぎる。30頭リストの下のほうなんてそれほどチェックされていないだろうが、早期デビューを見込んで入れた馬が出てこないのは最悪のパターン(マイネルラピドも同様)。ここは自分を戒めて来年度は注意したい。

 他に自己分析すると、社台ファームの馬についてはけっこう見立てが当たっているのにノーザンファーム勢に弱くなっている。社台の坂路では横位置で見るけどノーザンの坂路小屋だと縦位置で見るから……というのとは関係ないかもしれないが、ちょっと自分の中での基準を見直さないといけない。

 原稿の締めとなるのが、30位に書いておいたダークフィラメント。スパイキュール×エムオービクトリーというこの馬は何者!? という感じだろうが、ノーザンファームがサマーセールで買ってきた馬である。しかも420万円。

 個人的に後期育成の付加価値というものについて考えているので、実は「ノーザンが買ってきた馬(他場生産馬)」には密かに注目している。ちなみに「市場取引馬で吉田和美さんの勝負服、ノーザンファーム産以外(キャンセル馬等を除外)」という条件ではこれまで40頭が登録されて38頭が出走、22頭が中央で勝っている(出世頭はもちろんジャガーメイル)。そのうち多くはトレーニングセールで買った馬だが、当歳1歳購買馬もジャガーメイルのほかバンガロール、コンカランなどけっこう頑張っている。

 そんなわけでリストの最後に入れ、場合によっては自分の個人ドラフトでも指名しようと思っていたのだが、横手厩舎長から「狙いすぎだよ!道営からスタートするから」と言われて断念。それでもデビュー戦できっちり認定勝ちはしてくれた。ブリーダーズゴールドジュニアCでは大敗してしまったが、いずれ中央500万条件に出てくるのではと楽しみにしている。30頭の中にはこんなタイプがいてもいいでしょう。

筆者:須田鷹雄
 1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。netkeiba.comでは「回収率向上大作戦」も担当している。

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