まだラジオNIKKEI杯の結果が出る前だが、2歳戦を振り返ってみたい。
今年の牡馬戦線で一番印象に残ったのは、そのラジオNIKKEI杯の人気が落ち(?)、朝日杯の出走メンバーが充実したということだ。
リフトザウイングスのような馬はこれまでだとラジオNIKKEI杯のほうを選んでいただろうし、
リベルタスもそのようなタイプだったと思う。ともに勝てはしなかったが一定の好走を収めたことで、来年以降も朝日杯の出走馬が充実する可能性はある。
その朝日杯だが、既に各所で指摘されている通り、社台グループが掲示板を独占。しかも先述した2頭のようなPOG人気馬がそこに名を連ねた。
それでも冷静に考えてみると、やはりPOGは難しいという気はする。勝った
グランプリボスはセレクトセール当歳セッションで2835万円、1番人気だった
サダムパテックは1歳セッション1260万円。この価格帯は本物のオーナーにとっても「上手く探せばお買い得に違いない」というゾーンなのだが、そこから「当たり」を一本釣りすることが簡単でないのも事実である。
両馬の父がサクラバクシンオーとフジキセキであることも興味深い。それぞれ毎年結果を出しているにも関わらず、POG人気が(そしてセール人気も)沸騰するというタイプではない。これまた「この辺りを上手く探せば……」という話になる。
一方牝馬はというと、
レーヴディソールが3連勝で2歳女王となった。レーヴドスカーはスベリ知らずの繁殖牝馬で、アプレザンレーヴのような巨大すぎる産駒でも重賞勝ちに至ったのだから凄い存在だ。
POGではどうしてもG1馬の下が人気になりがちだが、実際にはレーヴディソールのような「中当たりの下の大当たり」を狙うほうが効率は良いような気がする(ただしアベレージの良い繁殖牝馬に限る)。そして実際のセールでは「小当たりの下の大当たり」を狙うのがよいのではないだろうか。ここで言う小当たりとはざっくり言って特別勝ち馬1頭と他の勝ち上がり馬1頭くらいで、それ以上の付加価値が付くとセレクトセールでは高くなってしまう。
今年を振り返り、次年度に向けてのテーマとして研究したいのが、今さらながら「母の父サンデーサイレンス」と、「多すぎるSS系の取捨」だ。
母の父サンデーサイレンスは阪神JFの2、4着と朝日杯優勝馬。それぞれ種牡馬は異なっているが、いずれも社台スタリオンの種だ。
その条件に加えて一定規模の生産者、一定レベル以上の厩舎という形で条件を加えていけば、絞り込みが進んでくる。
ちなみに現1歳世代のノーザンファーム生産馬でいうと、サンデーサイレンス系の父を持つ馬は200頭、母の父サンデーサイレンスは68頭。もちろん両者のクオリティが同じかどうかは分からないわけだが、探すのにかかる時間は早い。
というか、SS系はとにかく頭数が多すぎて、絞り込みの属性として機能しなくなっている。ラジオNIKKEI杯の登録馬16頭中14頭がSS系(ちなみに残り2頭は母の父サンデーサイレンス)というのはすごい話だが、一方で「SS系を指名しよう」と言ったところで全く絞り込めていないというのも事実である。SS系についてはむしろ、「SS系だというだけで、なんとなく正しい馬選びをしている気分になってはいけない」という段階に入っているような気がする。
筆者:須田鷹雄
1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。netkeiba.comでは「
回収率向上大作戦」も担当している。
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