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牡馬路線は混沌、牝馬路線は一強

  • 2010年12月31日(金) 12時00分
 早いもので2010年ももう終わり。クラシック直行便とも言われるラジオNIKKEI杯2歳Sが終わったところで、今年の2歳戦を振り返ってみたいと思う。

 今年注目されていたのがディープインパクト産駒。いい繁殖に恵まれたこともあって、POGのドラフトでも人気が集中した。2歳リーディングは産駒数や血統面からも当然といえば当然。重賞勝利は最後のラジオNIKKEI杯2歳Sでのダノンバラードのみだったが、総じて順調なスタートを切ったと言えそうだ。

 ただ、“クラシックの本流”と言われる同レースにしては、今年は有力馬が久々だったり、時計が微妙だったりと、例年どおりに扱っていいものか疑問も残る。2歳チャンプ・グランプリボスが「皐月賞には行きません」(矢作調教師)と宣言したこともあり、牡馬路線は混とんとしてきそうだ。

 とはいえ、10年が終わった時点で、牡馬の中距離のトップホースは前出のダノンバラードと考えていいだろう。もともと攻め馬の動きは2歳馬離れしていた。京都2歳Sはデビュー戦の反動もあってか本来の走りができなかったが、ラジオNIKKEI杯2歳Sは攻めのよさがストレートに生きた。池江郎調教師の定年→新しい厩舎へと移ってどのようになるかだが、それさえ乗り越えればクラシックでも戦い抜けそうだ。

 朝日杯FSで1番人気を裏切って4着に終わったサダムパテックもまだ見限れない。朝日杯は出遅れた上に、仕掛けて掛かるというチグハグな内容。東スポ杯2歳Sの後に騎手(スミヨン)の進言でハミを換えたのが裏目に出たということだろう。それでも4着に踏ん張るのだから、「うちの馬が1番強い競馬をしたと思う」と西園調教師が言うのも納得。この春は岩田とのコンビも決定しており、大いに牡馬クラシック戦線をにぎわせてくれそうだ。

 また、ディープインパクト産駒のデビューと同時に注目されていたのがダーレー軍団の本格参入。いろいろとPOGでも話題になったが、結局シェイクモハメド名義で勝ち上がった牡馬は「軍団で1番の評価を受けていた」(中竹調教師)というデボネアのみ。ある意味で牧場の評価は正しかったことになる!? やや不本意な成績にも思えるが、デボネアの勝ちっぷりにせよ、未勝利にとどまっているアストリンジャーアストロロジーにせよ素質は高い。現状のままで進むのなら、これらの組にもまだまだチャンスはあると言えるだろう。

 牝馬は現時点でレーヴディソール1強と見ていいだろう。阪神JFでは2着ホエールキャプチャの池添が「直線がスムーズだったらもっと際どかった」と悔しがったが、対するレーヴは「いかに負担をかけずに勝つか」と福永も余裕たっぷりのコメント。レース後も「使った後の方が歩様もスムーズ。デイリー杯を勝った後は少し疲れも出たが、今回はそれがない」と松田博調教師がいうのだから、いかにあの1戦が「楽だった」かということだろう。

 これに対抗できるとすれば阪神JF出走組ではなく、ドナウブルーヌーベルバーグの2頭。ドナウブルーは新年早々のシンザン記念に出走予定。レーヴに対しても「うちのもまだまだ」と石坂調教師は闘志を燃やしている。スピード感あふれる走りからも桜花賞戦線では強力なライバルとなれそうだ。対するヌーベルバーグは新馬戦が好タイム勝ち。こちらはオークスで持ち味を発揮してきそうだ。

 マイル路線は2歳チャンプ・グランプリボスの独壇場となりそう。「相当な能力がある。血統や走りからも距離は短い方がいいと考えている」と矢作調教師はクラシックに未練も見せず、名マイル・スプリンターへ成長させることに集中している。毎年、“空白地帯”となり、さもすればダービーのステップとなりがちなNHKマイルCだが、今年はそれを許しそうにない。

筆者:吉田竜作
「日本一のPOG記者」との異名を持つ大阪スポーツ記者。

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