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ローズS

  • 2002年09月16日(月) 14時00分
 伊藤雄師はもともと強気なコメントを提供するトレーナーだが、レース前に「できるだけ追わないで勝って欲しい」という指示を出したという。ファインモーション(父デインヒル)の能力はズバ抜けていた。

 新馬、500万、1000万特別、そして今回のG2。相手は確実に強化しているのに、勝ち方はほとんどいつも同じ。好位から馬なりのまま抜け出し、軽く気合をつける程度で独走している。

 今回のレースにはオークス3着のユウキャラット、桜花賞馬のアローキャリーなど、春のクラシック上位組が出ていたから、もう今年の3歳牝馬の勢力図は、根底から大きく変わったことになる。先週の新潟の紫苑S組(オースミコスモ以下)のレベルも、おそらく今回のユウキャラット程度だから、春の上位組は(残念ながら)、秋華賞ではまったく通用しないだろう。ぶっつけ予定のスマイルトゥモロー、チャペルコンサートなども、ファインモーションのレベルとは次元が異なる。

 種牡馬デインヒルの評価は世界中で一段と上がっているが、伊藤雄師はエアエミネムも管理し、デインヒル産駒の可能性を一番高く買っている。ファインモーションはジャパンCなどG1・7勝のピルサドスキーの下で、父は同じダンチヒ直仔で非常に良く似たタイプだから、血統面でも半妹ではなく、まだまだ大きく成長してくれそうだ。

 2着したサクラヴィクトリア(父トニービン)も立派。春シーズンに無理しなかったのが良く、川崎の関東オークスを制したあたりから馬が変わってきた。日本を代表する名門スワンズウッドグローブ系。本番の秋華賞でも好勝負だろう。

 ユウキャラットは先手を取れれば変わりそうだが、それにしても案外だった。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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