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天才の再スタート

  • 2002年09月17日(火) 00時00分
 12日、嬉しいニュースが発表になった。さる8月をもって廃止された益田競馬から御神本訓史(みかもとのりふみ)騎手が、南関東に移籍する。同騎手は99年4月デビュー、2年目の2000年に149勝をあげいきなり当地リーディング1位。同年NAR優秀新人騎手賞、プロスポーツ大賞新人賞を受賞している。以後3年間で2022戦453勝。地方競馬のみならず、日本ジョッキー界を見渡して最大の若手のホープだ。すでに移籍先の大井競馬小林分場・三坂盛雄厩舎で調教に騎乗しており、10月14日の大井開催から新しいスタートを切る。

 「益田の小さい馬場でしか乗っていないのでルーキーの気持ち。これから一つ一つ勉強して吸収して…」と本人のコメントはきわめて謙虚。しかしわずか3年のキャリアながら、この記録とタイトルはまさしく天才の資質を物語る。真面目で一途、そして研究熱心な人柄と聞いた。おそらく技術と勝負勘はすでに一流。ひとまず早く環境になじむこと、あとはやはり巡り合わせと運だろう。21歳、ジョッキーとしてはすらりと長身で武豊にも似た騎乗フォーム。スター然とした雰囲気を持っている。うまくことが運べば、大井競馬はもちろん、南関東4場も含み、ファンを呼ぶ大きなセールスポイントにもなるだろう。とにかくその再デビューには期待がふくらむ。

 ☆ ☆ ☆

 戸塚記念(9月11日川崎 サラ3歳 ハンデ 2000m重)

◎(1)ジェネスアリダー(58桑島) 2分10秒3
▲(2)スターオブブリッジ(54森下) 頭
△(3)ウエノマルクン(55的場直)  6
△(4)イシノラピド(53甲斐)    1
 (5)グランドパワー(54金子)   3/4
…………………
○(9)ブルーマドンナ(53左海)
△(12)ヤマトシャーディ(54佐藤隆)

単130円  馬複950円  馬単1310円
3連複3230円  3連単9360円

 ジェネスアリダーが自ら逃げる展開は予想外だった。しかし引き当てた1番枠から好スタート。パドックでもだいぶテンションが高くみえただけに、馬の行く気にまかせた自然流。結果からは鞍上の好判断といえるだろう。1000m通過63秒0、速からず遅からずの平均ペース。道中インの3番手、抜群の手応えで迫ってきたスターオブブリッジをしぶとく頭だけ退けた。前走黒潮盃ほどではないにせよ、今日もトップハンデ58キロ。ひやりとさせながら、それでも勝ち切るあたりがやはりクラシック上位組の貫禄か。相手のレベルに合わせ常に全力を出し切るタイプ。「一升マスは一升マス」といってしまえば確かにそうだが、その一升マスそのものが徐々に大きくなっている。次走からはいよいよ古馬と対戦。10月26日、中山ダート1800m「武蔵野S」挑戦のプランもあるとのこと。デビューから無理のないローテーションで使われ、自身まだ昇り目はイメージできる。

 スターオブブリッジはどうやら父トロットサンダーの代表産駒といえそうだ。やや首の高い走法だが、意外なほど追って味があり春後半を境に距離をこなすスタミナも身につけている。マイル王の父も一つさかのぼれば皐月賞馬ダイナコスモス。自身に柔軟性があるとすれば息の長い活躍を期待できる。ウエノマルクンは想像以上に左回りがスムーズで、道中ラチ沿いをスムーズに進み直線じわじわと伸びてきた。今後は左回りの軽い重賞を狙う選択肢もあるだろう。ブルーマドンナはいつになく早めにエンジンをかけたものの直線失速。バテたとも思えないレースぶりで、現状は気性難がネックとみえた。2番人気ヤマトシャーディはスタートが決まらず後方のまま。心身とも未完成というしかない。

 ☆ ☆ ☆

 日本テレビ杯(9月18日船橋 サラ3歳上 別定 統一G2 1800m)

◎レイズスズラン(56江田照)
○ノボトゥルー(57武豊)
▲ブリリアントロード(55山田和)
△タマモストロング(55小池)
△キングリファール(56佐藤隆)
△ノムラリューオー(54石崎隆)
△ユーエムアスキー(56佐藤祐)
 マキバスナイパー(57左海)
 ミツアキサイレンス(57川原)


 正直ノータイムでは予想が決まらないメンバーになった。単にG1実績で絞ればJRAノボトゥルー、南関東マキバスナイパー。しかし、前者は昨年まったく同じステップ(かしわ記念→日本テレビ杯)で1番人気を裏切った経緯があり、後者は昨春の帝王賞馬ながら今季いかにもリズムが悪い。コース適性で分があるタマモストロングはおよそ1年の休み明け。どれも半信半疑というしかない。

 レイズスズラン◎は、迷ったあげく最終的に勢いをとったもの。前走さきたま杯連覇は、浦和コース適性を割り引いても十分なインパクトがあった。どこからでもエンジンをかけられる器用さを持ち、しかもいい脚が長く使える。引退を一戦引き延ばした経緯など、馬自身はあずかりしらぬところだろう。強さのイメージ、距離適性、いまだ茫洋としているが、昨暮れ浦和記念をトーホウエンペラー相手に勝っている以上、パワー不足、底力不足はありえない。

 同じくデキのよさでブリリアントロード。前走旭川のブリーダーズGCをアルアランの2着。芝、ダート問わずタフに踏ん張る実戦派で、7歳馬ながら再び旬を迎えている。キングリファールはあくまで単騎逃げが条件だが、地の利を加味すれば可能性もありそうだ。未知の魅力でノムラリューオー、ユーエムアスキー。馬券を含めた最終決断は、やはり当日の馬体と気配にかかってくる。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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