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ファシグティプトン・フロリダセールのカタログを見て

  • 2011年02月04日(金) 11時00分
 毎年のことだが、ホンモノオーナーもPOゲーマーも外国産馬にあまり関心を示さなくなっている中、私は個人的な趣味としてマル外ウォッチを続けている。

 いまの為替ならば輸送費と関税を払ってもなおアメリカ産馬は導入する価値があると思うのだが、かつてのマル外ブームの反動というか、連続でハズレを引いた馬主がひとり抜けふたり抜けという感じで、常連購買者もすっかり少なくなってしまった。

 今年のトレーニングセールはOBS社が2月と3月のセリをひとつにまとめたり(その代わり日程が長いのだが)、ファシグティプトン社が会場を移したりといった変化はあるのだが、まあ日本人の購買者がいきなり増える理由にはならず、横這いか微減といったところだろう。

 実はほかならぬ私も仕事の都合で今年の2歳セールは久々の全休となりそうなのだが、そのぶん早くもカタログを見てあれこれ妄想している。

 今回はセールのはるか前だからこそ、このあたりを日本人が買ってくれないかな〜という馬を挙げてみたい。日本人が買わないと全く意味のない行為になるのだが。

 おおざっぱに言って、アメリカのセールで買う馬には3つのパターンがあると思う。ひとつは、日本適性があってお買い得の馬。ふたつめは日本適性はあるんだけどアメリカでの商品価値も高くて、競り上がると高くなっちゃう馬。みっつめは日本適性の無い馬である。みっつめでしかもアメリカ人が好きな血統となると、踏んだり蹴ったりだ。

 一方で、日本人バイヤーの購買ファクターは圧倒的に馬の形そのもの、次にプレビューの内容である。「この血統だとアメリカ人とかぶるから高くなるよね」といったことはあまり考慮されていないように思う。

 しかも、日本人から見て良く見えやすい(馬体が)血統というのはあるようで、だから過去の日本人購買馬を見てもけっこう種牡馬は偏っている。そして、「芝もイケると言いつつ結局はダート」という、「エーピーインディとその後継種牡馬あるある」のようなものも発生する。

 前置きが長くなったが、私は貧乏人なので、なるべく安いものをという前提で考える。その線で、長年「もっと日本人に買ってほしいな〜」と思っていたのがCherokee Run(チェロキーラン)。派手さはないが産駒が揃って日本で勝ち上がり、後継のYonaguska(ヨナグスカ)でさえアースリヴィングを出している。

 そのヨナグスカはトルコに輸出されてしまい、チェロキーラン直仔はさすがにメジャーセールには出てこないかと思いきや、今年のフロリダに1頭いた。母Rainbow Girlの牡馬(Hip No.19)。ブラックタイプは細めなのでプレビューでよほど走らない限り安いだろう。

 ちなみに、同じブラッシンググルームの血統のOrientate(オリエンテイト)も日本と相性はいい。これまでマル外として日本で走った5頭はすべて中央2勝以上。そのあたりを手掛かりにブラッシンググルーム全体に網を張ると、Invasor(インヴァソール)あたりに食指が動く。フロリダには母Exotic Westの牝馬(Hip No.166)が上場されている。

 かつてアメリカの種付料と比べて日本でのパフォーマンスが良かった種牡馬として、Deputy Minister(デピュティミニスター)も挙げられる。その後継、Awesome Again(オウサムアゲイン)はまだ向こうでの商品価値が高く、一方で日本にきた3歳世代は総崩れ。ただ、フサイチピージェイなども出ているわけだし、まだ見限れないと思う。フロリダではGolden Silkの牡馬(Hip No.179)が上場されている。

 ……妄想カタログチェックを続けるときりがないのでとりあえずはこのくらいにしておくが、ウェブであれこれ考えながらカタログを見る作業はなかなか楽しい。皆さんもぜひお時間のあるときに試してみていただきたい。

※次回は2月18日(金)の更新となります。

筆者:須田鷹雄
 1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。netkeiba.comでは「回収率向上大作戦」も担当している。

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