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NARグランプリ2010

  • 2011年02月05日(土) 00時00分
 昨年1年間に地方競馬で活躍した馬と人を表彰する「NARグランプリ2010」が3日(木)に行われ、今年も私が司会を務めさせていただきました。

 会場には、この席の“常連”と言ってもいい川島正行調教師や、2年連続で最優秀勝利回数騎手賞と同賞金収得騎手賞をダブル受賞した戸崎圭太騎手、最優秀勝利回数調教師賞の田中守調教師(高知)、ばんえい競馬史上2人目の通算3000勝を達成し特別賞を受けた藤本匠騎手らが勢揃い。これに、優秀女性騎手賞の山本茜騎手(愛知)と別府真衣騎手(高知)が華を添え、1月のJRA賞表彰式ではその姿を見られなかった(これはある意味で歴史的な出来事だったかも)武豊騎手が、ダートグレード競走特別賞を受賞したスマートファルコンの騎乗騎手として登壇するなど、たいへん豪華な式典になりました。

 今回、佐賀の山口勲騎手が殊勲騎手賞を受賞しました。もうご存知の方も多いでしょうが、去年、地方競馬のレースで最も多くの勝ち星を挙げたのは山口騎手でした。同騎手は294勝をマーク、288勝の戸崎騎手に6勝差をつけて地方競馬リーディングジョッキーの座に就いたんです。

 では、どうして戸崎騎手が最優秀勝利回数騎手賞を受賞したのか?それは、戸崎騎手がJRAのレースで22勝を挙げ、地方と合わせると310勝で山口騎手を上回ったから。つまり、地方競馬所属の最多勝ジョッキーは戸崎騎手だった、ということです。

 この2人の成績はどちらも賞に値する立派なもの。ですが、地方だけの勝ち星では戸崎騎手のような人が受賞できませんし、中央・地方を合わせた数字にすると、中央での騎乗機会がほとんどない山口騎手のような人が対象外となってしまう可能性があります。山口騎手に殊勲騎手賞を授与したのは、NARグランプリのファインプレーと言ってもいいでしょう。九州の地方競馬所属騎手が全国リーディングでトップに立ったのは、1985年の有馬澄男騎手(当時中津、現兵庫)以来25年ぶりの快挙。これを表彰しないわけにはいきませんよね。

 ところで、表彰式の後の祝賀パーティでは、競馬実況の大御所・兵庫の吉田勝彦アナウンサーがステージに登場、大勢の来場者の前で“吉田節”のトークを披露しました。その中に、「だいぶ前に片方の目が見えなくなって以来、もう片方の目だけで実況を続けてきました。ところが、その目も、だいぶ効かなくなってきました。あと少しで、実況をやめます」という衝撃の発言があったんです。

 吉田さん、それはないでしょう?あの実況が聞けなくなるなんて想像できません。でもまぁ、祝賀パーティの後、夜中の3時まで、私や井上オークスさんたちとの飲み会で盛り上がっちゃった吉田さんなら、まだまだ大丈夫と信じています。これからも頑張ってください!

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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