チューリップ賞の特別登録が出たが、
レーヴディソールが出走するために全体の登録頭数がやけに少ない……というタイミングでこの原稿を書いている。
そのレーヴディソール、赤本の巻末リストではシルシが○◎○、つまり私は○だった。この馬を◎にできなかったことは、私の本年度における大きな反省材料のひとつになっている。
というのも、「当たり」に近づく上でこれほど分かりやすい血統はなかなかないからだ。
ご存知のように、レーヴドスカーの産駒は軒並み走っている。
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ナイアガラ(父ファンタスティックライト)=すみれS勝ち
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レーヴダムール(父ファルブラヴ)=阪神JF2着
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アプレザンレーヴ(父シンボリクリスエス)=青葉賞勝ち
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レーヴドリアン(父スペシャルウィーク)=きさらぎ賞2着
重要なのが、父の系統が全く別々であるということだ。繁殖牝馬については「和合性」という言葉があるが、究極的に和合性の高い繁殖牝馬であるということになる。というか、母のポテンシャルでどうにかなってしまうさえ言える。
そもそも、社台グループ繋養で非SS系の繁殖牝馬は、SS系種牡馬を配合されることが多い。つまり、走る走らないに関わらず「バラエティに富んだ父たちを持つ兄弟」自体が成立しづらい。その上で兄姉が走っているとなると該当例は相当限られるはずだ。
実際に社台グループの繁殖牝馬名簿をめくってみても、「上3頭(以上)がオープン好走、あるいはPOG期間内にそれなりの賞金確保」「その3頭が別系統」という条件を両方満たすケースは極めて少ない。上が軒並み走っているというようなケースはあっても、それがすべてSS系だったりする。
他の例を探すと、アドマイヤサンデー(
ナサニエルまでアリと認めると、エルコンドルパサー・ジャングルポケット・キングカメハメハで活躍馬を輩出)あたりが近いイメージ。そう考えると、結果論としてPOGではダメだったにせよ
ヴェラブランカ(現4歳)は悪くない選択だったことになるし、ジャンポケ戻りの
アヴェンチュラはもっと推してもよかったと思う。
いずれにしても今後ここまで「分かりやすいケース」がそうそう出てくるとは思えないが、上3頭でなく2頭が走っているだけでアリと認めたり、活躍の基準を緩めるかわりに2歳へ期待する水準も下げる(ドラフト下位用)という風にすれば、指名候補馬はなにかしら見つかるはずだ。
ドラフト時期にはどうしても馬体や動きにに関する噂ばかりが意識されるが、こういう過去データで割り切れる選択もちゃんと機能するものだし、一般のPOGファンでもハンデなく楽しめるものなので、おすすめだ。
※次回は3月18日(金)の更新となります。
筆者:須田鷹雄
1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。netkeiba.comでは「
回収率向上大作戦」も担当している。