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大逃走アインアイン

  • 2002年09月30日(月) 13時16分
 9月25日大井「東京盃」。アインアイン、渾身の逃げ切りだった。絶好の1番枠からロケットスタート。外からすぐフジノテンビー、エイシンラグランジが並んできたが、もちろんこの形になれば譲れない。それにしても道中市村騎手はスプリント戦と思えないほど手綱に余裕があった。前走トゥィンクルレディー賞(7着)より14キロ体が絞れ、よほどデキがよかったということだろう。4コーナー、すでにエイシンが馬体を合わせおよそ2ハロンほども競り合ったが、ゴール前再びグイと伸びて突き放した。生涯最高の走り。1190m、1分10秒8。昨年ノボジャックが1200m1分10秒9だから、けっして低レベルゆえの勝利でもない。

東京盃(サラ3歳以上、別定、統一G2、1190m良)

△(1)アインアイン    (54・市村)  1分10秒8
 (2)エイシンラグランジ (55・的場文) 1
 (3)タマモスオード   (55・武豊)  1/2
 (4)サンフォードシチー (55・福永)  1/2
△(5)ハタノアドニス   (55・桑島)  1
…………………………………………………………
◎(6)ブラウンシャトレー (56・安部)
○(7)コアレスフィールド (55・張田)
△(12)フジノテンビー   (56・佐藤隆)
▲(13)ティエッチグレース (54・田中勝)

単2380円 馬複15490円 馬単49520円
3連複69830円 3連単508910円

 アインアインは3歳時「東京プリンセス賞」以来の重賞制覇。さきたま杯2着、スパーキングレディーC・2着、短〜マイルでは軽快なスピードで善戦するが、正直そこまでのイメージが強かった。ただタフに使える強みはやはり大きく、今回体調のよさ、好枠、好騎乗、すべて条件が整い大金星をあげている。「短距離は走るタイプだが、とにかく馬も人もよく頑張った。今後のことはもう少し様子をみて」と赤間調教師。おそらく11月4日盛岡「JBCスプリント」へ向かうだろう。ワンランク上の相手にどうぶつかるか。

 エイシンラグランジの好走は、正直的場文騎手の腕と気迫に尽きるだろう。基本的に先手必勝の大井コースでケレン味ない先行策。最後アインアインに力負けしたあたり、さしてインパクトは感じられない。逆に直線だけの競馬になったタマモスオード、サンフォードシチーは流れひとつで突き抜けたイメージ。とりわけ前者は初の地方遠征。深いダートに適性がありそうだ。ハタノアドニス、イエローパワーは逃げ争いの離れた好位で、結果大事に乗りすぎたか。ブラウンシャトレーは中団追走から4コーナーで外に振られ、ネックの不器用さがそのまま出た。フジノテンビーは使い詰めでやや下降線か、先行争いから早々と脱落。ティエッチグレースはパドックからイレ込みがきつく、スタート失敗で終了した。

       ☆       ☆       ☆

 一週遅れになるが、23日盛岡「ダービーグランプリ」のこと。ゴールドアリュールの強さはもう脱帽として、あろうことかわがヒミツヘイキが殿り負けを喫してしまった。好スタートでアリュールの2番手を進んだものの、向正面中ほどでもう手応えがなかった。「体は絞れていたけれど途中で馬がレースをやめてしまった。距離も長いか…」と左海騎手。現状では精神面で難しいとしかいいようがないだろう。それでもあのユニコーンS、衝撃の勝ちっぷりはまだ眼に焼き付いている。どう立て直し、再びリズムをつけてくるか。来季東京「フェブラリーS」が新たな照準になりそうだ。

       ☆       ☆       ☆

クイーン賞(10月2日船橋、サラ3歳以上牝馬、別定、統一G3、1800m)

◎ビーポジティブ   (武豊)
○カーディアンゴット (佐藤隆)
▲ミスダイアン    (吉田稔)
△ジーナフォンテン  (張田)
△ユレルオモイ    (岡部)
△メイプルベガ    (金子)
 カリスマテルコ   (石崎駿)
 トゥインチアズ   (蔵重)
 ホクトブルーバード (石崎隆)

 注目のビーポジティブが登場する。父サンデーサイレンス、母フェアリードール、トゥザヴィクトリーの全妹。デビュー当初芝でしばらく勝ちあぐねたが、ダートに照準を変え3戦2勝。未勝利、500万、それぞれ後続を13、7馬身ちぎってみせた。さしづめゴールドアリュールの牝馬版といえるだろう。ラップからは前半しゃにむに飛ばすタイプではなく、むしろ道中折り合いをつけ終い再び加速するイメージ。カリスマテルコ、トゥィンチアズ、地方側もテンは速いだけに、むしろいい試金石となりそうだ。素直に器が違うと判断する。

 カーディアンゴットは前走大井で反応の悪い競馬をした。ともあれ秋の目標は当初から今回で、マリーンC、プリエミネンスの2着からも末脚勝負なら巻き返しが浮かぶ。ジーナフォンテンは前走スパーキングレディーCを制したあとひと息入り、それなら当時コンマ1秒差3着、中間読売レディス杯(金沢)を勝ってきたミスダイアンに分があるか。ユレルオモイも好調だが、現状はあくまで条件馬で人気になりすぎると妙味薄。一瞬の脚をうまく使ってメイプルベガが連穴。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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