桜花賞でついにディープインパクト産駒(
マルセリーナ)がG1を勝ってしまった。
さらに今年の2歳馬に目を転じれば、ディープインパクトは前年度と同様の配合レベルを維持している。
となると、今年のドラフトも「ディープ固め」が流行するのかもしれないが、特定種牡馬だけを決め打つのではPOGは面白くない。
ルールとして複数種牡馬、あるいはそれ以上のパリエーションの種牡馬を指名するよう義務づけているグループもあるだろうし、自主的な縛りとしてそのような指名をしている人もいるはずだ。
ただ、ディープインパクト以外……となったところでアグネスタキオンだとかゼンノロブロイだとか、他のSS系に流れてしまう傾向はあるはず。その一方で、なぜかブランド化しづらい種牡馬というものもいる。
個人的に「面白いわりに評価が低い」と感じているのはクロフネとジャングルポケットだ。
ざっくりとした話ではあるが、非SS系でいちばんブランド(POGにおける)を確立している種牡馬というと、キングカメハメハだろう。確かにキングカメハメハは大物を出すのだが、いざ絞り込みをしようとすると難しい。SSとの配合はもちろん良いが、他の系統との間にも活躍馬が出ており、アリだと言い出せばどこまでもアリになってしまう。これまでは「社台ファーム生産馬よりノーザンファーム生産馬」という傾向があったが、
ベルシャザールが出たことでそれも曖昧になってきた。
その点、クロフネとジャングルポケットは傾向がはっきりしている。
クロフネはPOG期間に限っていえば、サンデーサイレンスかトニービン(+他のグレイソヴリン系も)との配合だけ検討すればよい。
ダートのほうが良いイメージがあるがPOG期間は芝もこなしているし、牡馬牝馬の成績差も小さい(牝馬のほうが走っているイメージはあるが、1走あたり賞金だと大差ない)。勝馬率も比較的安定している(今年は悪いように思われているが、4歳世代が突出していたせい)し、ドラフト下位を固めるときに便利な種牡馬だ。
ジャングルポケットもPOGでは母の父にサンデーサイレンスとノーザンテースト(こちらは少なくなったが)だけ狙えばよい。
もうひとつ特徴的なのが、高馬が走る率の高いこと。これは生涯ベースの成績になるが、市場取引価格上位10位(10位がタイなので11頭)から1億円以上稼いだ馬が4頭おり、さらに8000万円台が1頭、さらにさらに現役でまだ稼ぐかもしれない
ナリタジャングル(5歳・3130万円)と
ダノンミル(3歳・2755万円)がいる。価格と成績の相関関係が綺麗とは言えないセレクトセールにおいて、これは珍しい存在だろう。馬体の良さが素直に結果に結び付くのかもしれない。
※次回は4月29日(金)の更新となります。
筆者:須田鷹雄
1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。netkeiba.comでは「
回収率向上大作戦」も担当している。