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2歳戦・折り返し点

  • 2002年10月14日(月) 15時01分
 今年は「ハイセイコー記念=旧青雲賞」が例年よりひと月早い。この後、鎌倉記念(11月15日川崎)→平和賞(12月5日船橋)→全日本2歳優駿(12月25日川崎=統一G2)と続く2歳チャンピオンロード。ローテーションに余裕を持たせたという意味ではもちろんいいが、いかんせん近年南関東は2歳戦の進行が遅く、その層もきわめて薄い。現実には、シーズン終了後の北海道、岩手、上山などから転入馬が加わり、初めて佳境に入ってくる。おまけにこの重賞には、「9月28日までの大井出走馬」などという何とも狭量な出走資格が規定されている。納得できないこと。馬資源が脆弱とわかっていながら、なぜゲートを広く開かないか。明らかに時代へ逆行。ハイセイコーはもちろん、歴代の勝者は数段スケールが大きかった。スティード、ホスピタリティ、ジョージタイセイ…。そう並べるとやはり空しさも浮かんでしまう。

ハイセイコー記念(大井10月16日、サラ2歳、別定、1590m)

◎ベルモントソレイユ (54・石崎隆)
○ホクトエース    (54・鷹見)
▲ピープルズチャンプ (54・金子)
△マルカセンター   (54・今野)
△グリンゼファー   (54・佐藤隆)
△スオウライデン   (54・張田)
△ナイキゲルマン   (54・的場文)
△ロベルトジョージ  (54・内田博)

 ともあれ、ベルモントソレイユは例年の2歳重賞レベルには十分届く快速馬だ。デビュー2連勝。何より余裕のある勝ちっぷりが出色で、3戦目を思わぬゲート難で取りこぼしたものの、前走ゴールドジュニアーは再びポンとハナを切って1400m1分27秒9、直線もうひと伸びする圧勝だった。父アジュディケーティング。いかにもそれらしいスピードと加速力。素質(マイルまでの)通り走ればおそらく問題ないはずで、ネックは気性面の若さだけか。今回スタンド前の発走、コーナーを四度回る内コースがカギだろう。ただ来春クラシック候補というより、むしろ一度JRAの短距離などを走ってほしいタイプではある。

 ホクトエースは3戦2勝。とりわけ1490m、1分35秒5、距離延びた前走の内容が優秀だった。父カツラギエース。母の父アイランドハンターは耳慣れないが、かつてダイオライト記念などを勝った名ステイヤー。力の競馬ができそうなタイプで、ベルモントに直線並ぶところまでいければ逆転が浮かぶ。マルカセンター、グリンゼファーはともにV4を狙った前走で連勝ストップ。なるほど完成度は高いが、一つ勢いが途切れてしまうと決定打不足が気になる。逆に前走大井初コースを圧勝したピープルズチャンプ(父デュラブ)は、のびやかな馬体と走法が印象的な成長株。以下、ワカオライデン産駒らしい素軽さがあるスオウライデン、デビュー戦の末脚が強烈だったナイキゲルマン。道営から転入2戦目ロベルトジョージも前走ゴールドジュニアーのレースぶりは悪くなかった。

    ☆    ☆    ☆

 先々週、先週と、デビュー戦を飾った有力新馬を紹介する。

 10月3日船橋、1000m1分00秒8、後続を大差(13馬身)でちぎった「ステルステクニック」は掛け値なしの大物だ。510キロ台、まだまだ余裕残しの馬体ながら、いざ実戦になってケタ外れのスピードと競馬センス。あえて2番手から抜け出すレースをさせた石崎隆Jの思惑も期待も、この一戦だけで十分すぎるほど伝わった。父フサイチコンコルド、母の父ラーイ(ブラッシンググルーム)。今後もう1勝を重ね、平和賞→2歳優駿がおそらく川島正行厩舎の青写真だろう。社台ファーム生産。自ら吉田照哉氏オーナーという背景にも器の大きさがイメージできる。

 10月8日川崎、「パレガルニエ」にも大器を感じた。900m55秒6の時計は水準を少し超えている程度だが、パドックから古馬並みのどっしり落ち着いた雰囲気があり、レースでも激しい先行争いをグンと力強く抜け出し、直線今野Jが手綱をセーブする圧勝だった。父シアトルダンサーII、母の父キンググローリアス。前者からはむしろ重い血統で、それでいてこのスピードがあれば展望は明るい。池田孝厩舎は今年02年開業ながら、現在川崎リーディグトレーナーを走っている。その意味でも期待は大きい。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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