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週刊サラブレッドレーシングポスト

  • 2002年10月15日(火) 13時33分
 世界制圧にあくなき執念を燃やすゴドルフィンが、来年のキャンペーンを向けた超大型補強を行った。なんと、先日の凱旋門賞でゴドルフィンのマリエンバードに次ぐ2着となったスラマニを、これまでの所有者であるニアルカス・ファミリーから買収したのである。

 2歳世代から古馬まで、豊富な資金力を背景にしたゴドルフィンが、在野のトップホースをヘッドハンティングするのは、ここ数年この時期の恒例行事となっている。

 件のマリエンバードも、マイケル・ジャーヴィス厩舎の所属馬としてセントレジャーの前哨戦G2グレートヴォルティジュールS2着など成績を残していたこの馬を、前の所有者であるサイフ・アリ氏から3歳末にトレードで獲得したものだ。

 また、今季のワールドシリーズ・レーシングチャンピオンシップの優勝をほぼ手中にしているグランディラも、昨年はラエル・ステーブルとシェルトン夫人の共同所有馬としてジェームス・ファンショウ調教師の管理下にあった馬だ。

 更に最近の代表的な例では、99年の世界最強古馬デイラミも、3歳時まではアガ・カーン殿下の持ち馬として走り、仏2000ギニーなどに優勝していた馬だ。

 そして今回のスラマニである。ニアルカス・ファミリーの自家生産馬スラマニは、パスカル・バリー調教師の管理馬として3歳4月にデビュー。2戦目のメゾンラフィットの一般戦で初勝利を挙げると、一気に3連勝で仏ダービーを制覇。この秋も凱旋門賞の前哨戦ニエユ賞を制した後、前述したように凱旋門賞ではマリエンバードの2着となったのだが、このレースでは末脚勝負のスラマニのために陣営が用意したペースメーカーが全く役目を果たさず、ラビットがしっかり機能していれば1・2着は逆転したはずと、バリー師を悔しがらせたものだ。

 今後はサイード・ビン・スルール調教師の管理下に置かれるスラマニは、既に今季の予定レースを全て消化したとして、まもなくドバイへ渡って冬を過ごすことになる。

 一方、ゴドルフィンの陣営からは同時に、昨年の世界チャンピオン・サーキーの引退も正式に発表された。8月のゴントービロン賞で格下を相手に2着と不覚をとった後、凱旋門賞は回避して今週末にニューマーケットで行われる10ハロンのG1チャンピオンSに照準を絞って調整されていたが、結局良い頃の動きを取り戻せず、引退レースを走ることなく現役を退くことになった。サーキーは来季から、英国のシャドウェル・スタッドで種牡馬入りすることが決まっている。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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