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安藤勝己騎手インタビュー中編

  • 2011年05月18日(水) 12時00分
新馬戦を勝ち上がり、名手・安藤勝己に光る才能を見せつけたマルセリーナ。キャリア2戦目で重賞に挑戦。そこで皐月賞馬相手に、堂々の好勝負を演じました。

◆桜花賞直行の英断

:新馬戦を勝ち上がって、2戦目でシンザン記念(11/1/9、京都芝1600m)に出走しました。重賞で、しかも牡馬に混ざってのレースですから、条件的には難しいところを3着。振り返っていかがですか?

安藤 :その時もまだ、スタートでの反応が良くなかったですね。ずいぶん出しては行ったんだけど、結局は内の中団よりちょっと後ろになったのかな。それで内々の狭い所を通って行って、そこから伸びて。正直、2着はあるかなと思ったんだけど、最後に差されて3着になってしまいました。

:でも、差してきたのは皐月賞を勝ったオルフェーヴルですから。そう考えたら、かなり強さを見せてくれたのかなって。

安藤 :そうですね。新馬の時より行く気にもなってくれたし、内を通っても他の馬を気にすることなく終いまでしっかり伸びましたからね。それに、新馬戦の時はずっと外を回ったんだけけど、逆にこのシンザン記念ではずっと内を通って。

:はい。

安藤 :結構強力なメンバーの中で前走と違った競馬ができたのは収穫だし、追うだけ確実に伸びるなというのも感じました。だからすごく進歩はあったなと、自分では評価したけどね。まあ先生は、GIに出るには賞金面もあるので、できれば2着までにって(笑)。それで「もう1回どこか使わなきゃ」って言っていたんだけどね。

:それで1か月後に、オープンのエルフィンS(11/2/5、京都芝1600m)に出走しました。

安藤 :オープンだし、女馬だけのレースだし、正直ここは勝っておかないと、と思っていました。だからこれは、勝ちに行って勝ったレースなんですよ。

:位置取りも、いつもより少し前での競馬になりましたよね。

安藤 :そう。いつもより前目だったね。あの時もタイミングが悪くて、ゲートで遅れて。それで出していったら行き脚がサッとついて、5番手くらいにつけて。それで早めに動いて、終いまでしっかり伸びましたね。

:ここでもまた違う内容の競馬をしましたね。

安藤 :ここまでの3戦が全部違う競馬ができたのは、大きかったですね。「いろんな競馬ができて、上手に全部応えてくれる馬だな」と。一戦一戦すごく進歩しているなというのを感じたレースでした。

:成長の面で、本当に順調に積み上げてきていたんですね。新馬戦、シンザン記念、エルフィンSの3戦を1か月間隔で使ってきたんですけども、疲れは無かったですか?

安藤 :エルフィンSを使ってから、チューリップ賞を使うかどうかという選択肢もあったみたいですが、桜花賞へぶっつけでいいんじゃないかということを言いました。

:それはなぜですか?

安藤 :3戦ともいろんなレースをして答えを出してきてくれているし、ここまでずっと使ってきて、ここで一息入れても、頭のいい馬だから上積みはあるだろうと。それに、チューリップ賞にはレーヴディソールも使う予定だったので、今ぶつける必要もないかなというのもありました。それで「使わない方がいいような気がする」ということを言って、先生もその方がいいだろうということになって。

:その、2か月空けるという決断が桜花賞でいい結果に出たんでしょうね。

安藤 :今思えばだけど、シンザン記念が3着で、エルフィンSを使って、一息入れてから桜花賞に行けたのが良かったのかもしれないですね。次走の桜花賞まで、今までより長く間隔が空いたでしょう。厩務員さんから「調子が良くなっているから、レース前に1回乗ってみて」って言われて、それで1週前に乗せてもらいました。

:乗ってみて、やっぱり調子が良さそうでしたか?

安藤 :それまでの調教には乗ったことがなかったので、比較はできないですが、すごく反応が良くて、調子は間違いなく良かった。それと元気もすごく出てきていましたよね。ちょっとやんちゃなところを見せたりして。

:一息入れて、リフレッシュできたんでしょうね。

安藤 :そうですね。それと冬毛も抜けていたから(笑)。そういう点では、見栄えもしていたしね。

:ボサボサではなくなっていたんですね(笑)。馬体重はどうでしたか? 新馬戦が462kgで、そこから−6kg、−8kgとずっと減ってきていたのが心配でもあったんですが?

安藤 :今が細くなったというより、新馬戦の時はまだ太かった部分があったんじゃないかな。新馬戦の時は本当にもっこもっこで、コロッとした馬に見えてね。まだ垢抜けないような感じだった。桜花賞が452kgでしょ。本来の馬体重はこのくらいかもしれないですよ。

:なるほど。性格的にはどんな仔ですか?

安藤 :レースに行っても、カーッと燃えたりしないですね。そういう点では、女の子にしては神経の図太いところがあるのかな。それとさっき言ったような、ディープの仔の割には、反応が敏感過ぎないのがいいですね。女の子なら、かえってそれくらいの方がいいような気もしますし。

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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