「週末、サンカルロの妹が入ってくるぞ」、大久保洋調教師が笑みを浮かべながら話す。サンカルロの半妹ベルシエロ(牝、父ダイワメジャー、母ディーバ)が5月21日、美浦トレセンに入厩。22日には一緒に入厩したレッドガルシア(牡、父ダイワメジャー、母レミニセントリー)と共に坂路を1本登った。
「サンカルロは8月下旬(23日)に入厩したが、ベルシエロは順調に調整が進んだので思った以上に早く入厩できた。しかも一緒に調整できるレッドガルシアが入ってきたのもよかった。どちらもダイワメジャー産駒でタイプも似ているだろうし、同じスピードで調整できるのは両馬にとってもいいことだ」。
ベルシエロは厩舎の看板馬サンカルロの妹ということもあり、師の期待も大きい。
「兄に似て勝ち気な気性なのはいいな。サンカルロもヤンチャな面はあったが、我を通す気持ちの強さがあった。だからこそ、実戦でも馬群を割る勝負根性があるのだろう。走る馬はヤンチャなぐらいがちょうどいい。血統的には短距離向きの印象はあるが、今年はこの馬でクラシックを目指したい」。
レッドガルシアの半兄にはプリンシパルSを勝ったピサノクウカイがいる。
「ウチにいたメジロダーリングもアファームドの肌だったが、背中が短めの体型に出やすく、この馬は短距離路線がよさそうだ。同じダイワメジャー産駒のベルシエロ同様、スピードタイプだな」。
大久保洋厩舎の早期入厩組にはメジロドーベル、ハイアーゲームと重賞ウイナーの名前が挙がる。それだけに師の意気込みがヒシヒシと伝わってくる。
大久保洋厩舎の2歳馬の入厩頭数はメジロ牧場が撤退したこともあり、例年より少なくなっている。「ウチには当初、メジロ牧場の2歳馬が4頭入厩予定だったけど、すべて白紙になった。今年の2歳ではディープインパクト産駒の母メジロダーリング(牡)に期待していたが、どうなるかはわからんな」。
メジロ牧場の撤退に寂しさを感じていた師も、ベルシエロが入厩したことで笑顔が戻ってきた。レッドガルシアと同じ東京ホースレーシングが所有するレッドストラーダも先日行われたガーベラ賞で2連勝を飾っている。メジロ牧場が撤退した翌日に入厩したベルシエロとレッドガルシア。大久保洋厩舎の新たな時代を築く担い手になるだろう。
▼筆者:辻三蔵
レーシングライター。元「ホースニュース馬」美浦所属トラックマン。