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週刊サラブレッドレーシングポスト

  • 2002年10月22日(火) 14時35分
 いよいよ今週末に迫ったブリーダーズC。全8レースの展望をお届けしたい。

 私が関わっているグリーンチャンネルの『知りたいKEIBA情報局/海外競馬ハイライト』では今年も、豪華な賞品が用意された「ブリーダーズC/ピック8」を開催しますので、海外競馬ファンの皆様はぜひ御参加いただきたいと思います。

 オープニングレースの『ディスタフ』は、8レースの中で最も好メンバーが揃っていると言われる一戦。ここまで10戦9勝、目下4つのG1を含めて重賞6連勝という西海岸の古馬アゼリが1番人気だが、古馬を破った前走のG1ベルデイムSを含めて、目下東海岸でG1連勝中のインペリアルジェスチャー。ベルデイムの2着馬マンディーズゴールド。サラトガのG1パーソナルエンサインSを勝った東海岸最強古馬サマーコロニー。中部地区の最終プレップG1スピンスターSを制したテイクチャージレディ。今春のG1ケンタッキーオークス馬ファーダアミーガと、相手も強敵揃いである。

 今年の8レースで最も固い本命がいるのが『ジュヴェナイルフィリーズ』。東海岸でメイトロンS、フリゼットSと2つのG1を含めてデビューから3戦3勝のストームフラッグフライングが、ラスヴェガスのカジノでもメジャーな雑誌のオッズでも、2倍を切る圧倒的な支持を受けている。フリゼットSの2着馬サンタカタリーナ、西海岸の最終プレップG1オークリーフSを制したコンポージュア、フロリダでフロリダ産馬限定戦をぶっちぎってきたイヴァナヴィナロットらが、離れた2番手クループを形成している。

 ロックオブジブラルタルがこちらへ廻ればここも固いのが『マイル』。だが、この馬が『クラシック』へ廻ると一転して本命不在の大混戦となる。そうなるとアーリントンミリオンの勝馬ビートホロウが中心になるのだが、初めてマイルを使われた前走G1キーンランドマイルで3着と敗れており、欧州在籍時には英ダービー3着の成績がある馬にはマイルはいかにも短い気がする。これに続くのが、昨年のこのレースの2着馬で、前走マイルのG2ケルソH2着のフォービドゥンアップル。皆様には御承知の通り、昨年の香港マイルではエイシンプレストンの4着に敗れていた馬だ。はっきり言ってここは手薄。日本のトップマイラーが行けば好勝負確実だったと思う。

 『スプリント』の中心は、前走サラトガの6.5FのG1フォアゴーHを楽勝したのをはじめ、目下この路線で4連勝中のオリエンテート。これを、前年の2着馬で、直前のG3フェニックスS快勝のイストラヒート。前走デルマーのG2パットオブライエンSを含めて重賞3連勝・通算6連勝中のディタービングザピース。昨年の4着馬で、春には1マイルのG1メトロポリタンマイルを制したスウェプトオーヴァーボード。一昨年の覇者コナゴールド。直前に東海岸で7FのG1ヴォスバーグHを制したボナパウ。直前に西海岸で6FのG1アンシェントタイトルHを制したカルーカンクイーンらが追う。多士済々のメンバーが揃い、馬券的にはどこからでも狙えそうなレースだ。

 前年の覇者バンクスヒルが、西海岸におけるプレップレースのG1イエローリボンSで3着に敗れてにわかに風雲急を告げてきたのが『フィリー&メア・ターフ』。そのG1イエローリボンを制して、夏のビヴァリーディーSに続いてG1連覇のゴールンアップルズ。同レースの2着馬で、今季この路線の重賞3勝のヴードゥーダンサー。今季の英国2冠牝馬で、東海岸における直前のプレップレースG1フラワーボウルHも快勝したカジア。ナッソーS、ヨークシャーオークスと牝馬G1連勝の後、前走凱旋門賞5着のイズリングトンなど、ここも強力なメンバーが揃っている。

 東海岸と西海岸でともに負け知らずの2頭が人気を分け合っているのが『ジュヴェナイル』。東の代表が、前走キーンランドのG2ブリーダーズ・フューチュリティを含めて3戦3勝のスカイメサ。一方、西海岸の代表が前走ターフウェイパークのG3ケンタッキーCジュヴェナイルを含めて3戦3勝のヴィンディケーション。これを、ベルモントのG1フューチュリティSを制したホワイホワイホワイ。サンタアニタのG2ノーフォークSを制したカフウェインらが追う展開。A.オブ
ライエン厩舎から5頭のエントリーがある(どれを使うのか現時点では確定してないが)のも注目されている。

 『ターフ』は、今年の英愛ダービー馬で、前走休み明けの凱旋門賞も3着と健闘したハイチャパラルが中心。その他キングジョージの勝馬で、前走G1インターナショナルS2着のゴーランと、前走G1カナディアン国際を制して素質開花のバリンガリーが、強力な欧州トリオを形成する。迎え撃つ北米勢の筆頭は、前走ベルモントのG1ターフクラシックを制したデノン。そのターフクラシックでデノンの2着だったブレイジングフュリー。夏から秋にかけてこの路線のG13連勝を果たしたウィズアンティシペーションらが脇を固める。

 結局のところ馬券的に最も難しそうなのが『クラシック』だ。ドバイWC勝馬ストリートクライが故障引退、最強メンバーが揃ったサラトガのG1ホイットニーH勝馬レフトバンクが病気で急死と、古馬勢が手薄で、上位人気は3歳勢が占めている。本命は2冠馬のウォーエンブレムかと思いきや、さにあらず。ラスベガスのカジノ「バリーズ」は、8月のG1パシフィッククラシックで古馬勢を粉砕したケイムホームを1番人気にし、競馬日刊紙のデイリー・レイシング・フォームは真夏のダービーG1トラヴァーズSを制したメダグリアドローを1番人気にしている。古馬勢では、直前のG1ジョッキークラブCの勝馬イヴニングアタイア、春のG1サンタアニタHの勝馬ミルウォーキーブリューらが代表格。ここに、マイルとダブル登録ながらここに出てくる可能性もあるロックオブジブラルタル、ホークウィングが絡んでくるのだから、難解なことこの上ないのである。

 私自身のPick8は、今週放送のグリーンチャンネル・『知りたいKEIBA情報局/海外競馬ハイライト』(23日・水曜日夜9時、24日・木曜日朝10時、24日・木曜日夜8時、25日・金曜日午後2時の4回放送)で御確認下さい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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