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東田幸男調教助手インタビュー前編

  • 2011年05月31日(火) 12時00分
昨秋のマイルCSはクビ差2着に惜敗。今年こそマイル界の頂点へと、リベンジに燃えるダノンヨーヨー。昨年日本一に輝いた厩舎が、GI制覇へ勝負をかけます。

◆マイルCSの反省

:安田記念へ出走するダノンヨーヨーですが、去年は夏から4連勝して、マイルCS(10/11/21、京都芝1600m)ではGI初挑戦ながらも1番人気に支持されました。マイル路線で存在感を見せましたね。

東田 :そうですね。それだけに、マイルCSはもったいなかったんですよね。直線でスッと出られていたら良かったんですけど、ちょっとカットされてしまったんですよね。その分が痛かったですね。

:それでも、後方からものすごい脚で追い上げて、2着まで食い込みました。

東田 :そうですよね。まあGIというのは、運、不運がつきものですからね。ああいう不運があったらもうまず勝てない。GIを勝とうと思ったら、運も必要です。でも、仕方がないんですよね。結局、原因は何かって言ったら、出遅れなんです。

:出遅れは課題にしてきたところですね。

東田 :ええ。出遅れると後手後手の競馬になってしまいます。これまでも出遅れて、直線一辺倒の競馬がありましたよね。あれだけの脚を使って、少しのところで届かないというね。それを一番表したのがマイルCSでしたね。

:ダノンヨーヨーは、どうしてゲートで遅れてしまうんでしょうか?

東田 :ゲートの中でそわそわしているみたいです。落ち着きがないというか、集中していないんでしょうね。四肢がそろわないでいる時にクッとゲートが開いて、タイミングが悪くていつも出遅れのようになっていたんですよね。

:そういうことがあったので、前走のマイラーズC(11/4/17、阪神芝1600m、3着)の時は、中間にゲート練習をしたという。練習の成果もあって、マイラーズCではゲートをキレイに決めましたよね。

東田 :出ましたね。レース自体は最高のレースでしたよ。確かに勝った馬には楽に逃げられたなという印象はありますけど、位置取りとしては最高の競馬をしてくれました。ああいう、前目で競馬をしてくれたというのは、先々につながりますよ。

:そういう展開が、音無先生と東田さんの理想だったと。

東田 :そうです。まあ、それでも勝てなかったのは、2か月ぶりの競馬という部分もあったと思います。追い切りは助手の生野(賢一)が乗ったんですけど、以前と比べてちょっと気合い面が足りないということを言っていたんですよ。

:そうだったんですか。

東田 :仕上がってはいたんです。攻め馬でも時計は出ていましたし。ただ、何かもうひとつ覇気がないというか。いまひとつ勘が戻らない、というのがあったんじゃないでしょうかね。

:先ほどのお話にもありましたが、やっぱり使っていっていいタイプですか?

東田 :ええ。去年4連勝した時、あの時は結構間隔が詰まっていました。ああいうふうに、間隔を空けないで使っていくと、常に気合いも乗っていて感じがいいんじゃないですかね。また、使っていっても疲れがあんまり出ないんですよ。回復力が早い、良い体をしていますよ。

:そしてレースでは、いつもあの末脚を見せてくれますからね。

東田 :そうなんですよね。あの脚を使えるんだから、前半でもうちょっと行けたらって思っていたんですよね。行かせても引っかかる馬ではないですから。だから、ふわっと乗るタイプじゃないんですよ。ズブくて、ズルい。真剣に走らないということなんですけどね。

:レースでもたれるところがあるということですが?

東田 :そうですね。どっちかと言うと左回りの方が内に切り込むようですね。左、左の方向に行くんです。まあそれでも、左回りでも結果は出していますからね。

:矯正するための調教をされたりということは?

東田 :いや、調教では極端に右に行ったり左に行ったりということはないんですよ。だから調教で直すということはないです。レースでも、極端にやってしまう馬ではないですしね。ただちょっと、ステッキを嫌う面がありますね。

:ムチが入るのを嫌がる?

東田 :ええ。ムチが入ると反発します。だから、本当は3、4回入れたいところを1回だけポンと入れたり、あとはしごいて押すとか、見せムチとか、そういう方が良さそうですね。叩くと反抗するところがあるんですね。

:我が強いタイプなんですか?

東田 :ええ、我は強いです。調教は素直なんですよ。むしろすごくやりやすい馬なんです。仕掛けたらスッと行って、時計も出ますし、ガーッと引っかかったりもしないですし。まあ、そういうところは、年齢を重ねるうちに落ち着きが出てきたのもありますね。

:そうなんですか。

東田 :ええ。昔はちょっと厄介でしたよ。もっと扱いにくい馬でした。

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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