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プリンシパルの誤算

  • 2002年11月03日(日) 13時58分
 10月31日、大井「かちどき賞」。コアレスハンターが会心の逃げ切りで重賞初制覇を飾った。金盃(2着)以来、およそ8か月の休み明けながら7キロ減とムダのない仕上がり。が、それより何よりこの日は展開がよかった。好スタートから難なく先手を奪い千通過62秒5のマイペース。3〜4コーナー、軽く気合をつけてピッチを上げ2馬身ほどのセーフティリード。着差こそ1馬身ながら最後まで余裕を感じさせるゴールだった。「イメージは半信半疑。でもパドックでまたがった瞬間に手応えを感じた」と的場文騎手。父ハイブリッジスルー、牡5歳。たび重なる故障でオープン入りに手間取ったが、馬と相談しつつの根気よい仕上げ、地方競馬でこそのユックリズムがここで実を結んだといえるだろう。タイプとすると同じ高橋三郎厩舎・フレアリングマズルに似た短〜中距離ベストのスピード型。470キロ台の柔軟な馬体と走法。まだ昇り目は見込める。

 かちどき賞(サラ3歳以上、別定、2000m良)

▲(1)コアレスハンター  (57・的場文) 2分05秒6
△(2)ゴールデンカバリエ (56・内田博) 1
△(3)カサイグローリア  (56・桑島)  5
◎(4)プリンシパルリバー (57・石崎隆) 1/2
△(5)ピーエムタッチ   (57・佐藤祐) 1/2
………………………………………………………
○(6)オンユアマーク   (57・鷹見)  2

 単350円 馬複3090円 馬単5080円
 3連複9590円 3連単72300円

 プリンシパルリバーは、正直すべてに不満の残る敗戦だった。マイナス3キロ、春同様細身に写る馬体で、パドックでも終始イレ込みがきつい。スタートは五分に出て馬なりの6番手。それはいいとして、道中まったく動かず動けず、結局、直線追い較べになって外カサイグローリアにさえ競り負けてしまった。羽田盃優勝、JDダービー3着を考えると、いったい何か…が本音。もっともレース前、栗田調教師「羽田盃と比較して仕上がりは今一歩。馬体も思ったほど増えていない」と意外なほど慎重なコメントが出ていた。社台F生産→山元トレセン調整…のバターンで、こちらに過大な期待があったのかもしれない。「前で競馬ができない馬だから今日は仕方ない」と石崎隆騎手。おそらく彼にも、自分で競馬を作って勝てる、それだけの手応えが今のプリンシパルにはなかったのだろう。ハイペース乱戦を待ち、一瞬のワザで勝負を決めるカウンターパンチャー、そんな評価か。今後は東京大賞典、川崎記念の路線だが、少なからずトーンダウンは否めない。

 もう1頭人気で大敗したオンユアマークも不可解。本来パワー、スタミナには自信があり、スローならスローでもう少し積極的なレースができたはず。精神面も含めまだまだ未完成ということか。ゴールデンカバリエは健闘だが、年齢と実績からこの先統一G路線に乗れる馬でもあるまい。カサイグローリア、ピーエムタッチも、それぞれ状況は違うものの、能力目いっぱいの競馬にみえる。追記すれば、勝ち馬コアレスはレース中落鉄、脚を痛めたという情報もあった。無事なら大賞典で再び力試しになる。

     ☆     ☆     ☆

 グランドマイラーズ(船橋11月6日、サラ3歳以上別定、1600m)

 ◎ベルモントアクター(石崎隆)
 ○コアレスフィールド(張田)
 ▲ユーエムアスキー(左海)
 △ミリオンヒット(的場文)
 △ネームバリュー
 △カミスドリーム(秋田)
 △スプリングシオン
 注ヒミツヘイキ

 ベルモントアクターが重賞2勝目、同時に自身18連勝(無敗)の記録を賭けて出走する。前走大井サンタアニタTは不利な大外枠から出てゴール前外から一気。前半エンジンの掛かりが鈍く道中はひやひやしたが、それで結果を出してしまうあたりが、やはり天才ランナーゆえだろう。いずれにせよ厳しいハードルを一つ超えたということ。出川克己厩舎は「万全でなければ出さない」という堅いポリシーを持つ。スピード、瞬発力、競馬センス、すべてに卓越したものがあり、ここは無条件に潜在能力を信頼したい。事実ライバルの大半と勝負付けが済んでいる。

 コアレスフィールドはそのサンタアニタTで1/2差の2着だった。以後オールスターC2着、東京盃7着。なかなか万全で使えないが、ひとまず南関東レベルでは円熟した快速馬といえる。マイルまでなら安定度が高い。ユーエムアスキーは重賞未勝利、格の上でも準オープンだが、3走前川崎1600mでカーディアンゴットを差し切っている。上昇度と恵量に注目だろう。以下、川島正行厩舎から再スタートを切るネームバリュー(JRA芝4勝)、左回りで一変するミリオンヒット。転入後9戦7勝スプリングシオンもまだ底をみせていない。ダービーGP大敗で振り出しに戻ったヒミツヘイキは立て直しに専念。中間豪快な追い切りをこなしている。出走してくればもちろん単穴。ひとこと折り合いがカギだろう。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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