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第2回産地馬体検査の注目馬

  • 2011年06月24日(金) 18時00分
 6月21日、22日の2日間に渡って行われた産地馬体検査。これをお読みになっている方には「産地馬体検査ってもう終わったのでは?」とか「村本、サンチバの日付間違ってなくね?」と思われているのかもしれない。

 しかし、産地馬体検査は2度あるのが育成界の常識。なのにマスコミの数が少ないのはトホホ…といったところだが、だからこそここでしか聞けなかった情報を伝えていきたい。

 21日の浦河・BTC会場に姿を見せていたのがビッグテンビーの09(牡、父キングヘイロー)。全兄はスプリントGI・2勝馬のローレルゲレイロで、同じ血統背景を持つリキサンマックス(牡3、昆厩舎)もGIIIきさらぎ賞で2着など、今年のクラシック戦線を沸かせた。現在はBTCの坂路を中心とした調教が行われており、心身ともに完成度が高いこともあってか、調教後もケロッとしているという。この後は函館競馬場へ移動し、札幌開催でのデビューが目されている。

 アシェラフの09(牝・父Any Given Saturday)は見栄えのする馬体で、動きもダイナミックだという。それでも大型馬特有の重さは見られていない。同じく持ち込み馬のカトゥーンバの09(牡・父Red Ransom)も大型馬だが坂路ではハロン15秒台の時計も計時しているように仕上がりも進んでいる。

 ウメノアスコットの09(牡2・父プリサイスエンド)の半兄はJBCスプリントの勝ち馬であるマイネルセレクト。動きには力強さもあり、血統からもダート適性の高さは疑いようがない。

 ワンダーヘリテージの09(牡2・父ストラヴィンスキー)は、ワンダースピード、ワンダーアキュートと兄弟はダート重賞を沸かせている。弟はワンダーアキュートに似ているとのことで、調教の動きには素軽さも感じられている。短距離戦からでも充分にこなせそうなスピード能力も兼ね備えている。

 プリーズルックアットミーナウの09(牡2・父ダイワメジャー)は、まだ、子供っぽさも残っているが、父らしい見栄えのする馬体で動きには力強さも感じられる。この後は札幌競馬場に入厩する予定となっている。

 22日の新ひだか・HBA北海道市場会場には、社台ファーム、ノーザンファーム早来牧場、ノーザンファーム空港牧場、追分リリーバレーと、社台グループの各牧場で育成されている2歳馬の姿があった。

 ノーザンファーム早来牧場のスタッフが連れてきていた、フサイチエアデールの09(牝2・父ウォーエンブレム)は、今年の2歳馬取材で初めてその姿を見た馬。しっかりとした馬体の通りに、そのスタッフからも「動きもいいですよ」という声が聞かれた。

 同じく「フサイチ」の冠名を持つフサイチパンドラの09(牡2・父シンボリクリスエス)は、グラマラスな馬体で、この日の会場でも最も見栄えがしていた。調教のペースも上がってきているという。

 ノーザンファーム空港牧場のスタッフが、「いい馬ですよ」と教えてくれたのが、芦毛の馬体が目を引いたリリウムの09(牝2・父ステイゴールド)。高いレベルでの調教を施されており、入厩も間近とのこと。早い時期からの活躍も期待できそうだ。

 プリンセスカメリアの09(牡2・父シンボリクリスエス)は馬っぷりの良さが目を引いていた。順調にきているものの、さらに完成した姿に近づけていくために、牧場で乗り込みを続けていく。

 父が追分ファームの生産馬であるインディパレードの09(牡2・父ゴールドアリュール)は、追分リリーバレーで育成中。見栄えのする馬体から繰り出される走りにはパワーも感じられ、芝、ダートを問わない活躍も期待できそうだ。

 バレエブランの09(牡2・父キングカメハメハ)は、初仔ということで小ぶりな馬体に見えるが、心肺機能の高さを高く評価されていた。夏の北海道開催でのデビューも予定されているほどに、完成度は高い。

 社台ファーム育成馬ではレリックレーヌの09(牡2・父シンボリクリスエス)がパワーのある動きを見せている。馬体も父を彷彿とさせるかのように雄大だが、バランスにも秀でており、調教でのフットワークも大きい。「手応えが抜群です」とスタッフが笑顔で話してくれたのがハンターズマークの09(牝2・父アグネスタキオン)。調教でも鞍上の手を動かすことなく坂路を駆け上がっている。この後は早めの入厩も考えられている。

 社台グループ以外の2歳馬では、身のこなしがよく、坂路も楽に駆け上がっているというボストンタイムの09(牝2・父ディープインパクト)、ここにきての伸びしろが目覚ましく、動きにはスピード感も溢れているというフローレンスガールの09(牝2・父キングカメハメハ)、素質の良さが調教の動きにも現れてきたというメイショウヤエガキの09(牡2・父ゼンノロブロイ)、馬体の良さと動きの良さが比例していて、秋のデビューを目標としているというラゴマジョーレの09(牡2・父ハーツクライ)、そして大物感があって、パワー馬格共に申し分ないというメイジノジョケツ(牝2・父ダンスインザダーク)も記しておきたい。

 最後に取り上げるのは、今年も2歳戦を沸かし続けるビッグレッドグループの2歳馬たち。Exhibit Oneの09(牡2・父Kingmanbo)は柔らかさのある動きで、身のこなしなどにも大物感が感じられる。完成の時期はまだ先となりそうとのことだが、素質だけなら牧場でもトップクラスの評価を与えられている。

 同じく外国産馬のDivina Miaの09(牡2・父Pivotal)は、がっしりとした馬体の通りに動きもしっかりとしている。現在はさらにスケールアップさせるべく夜間放牧を行い、再び入厩を目指しての調教を行っていく。

 馬なりながら速い時計でビッグレッドファーム明和の坂路を駆け上がっているというのが、ハッピーリズムの09(牡2・父ゴールドアリュール)。春先からの成長力には目を引くものがあるとのこと。札幌開催のデビューを目指しており、デビュー戦は馬券を買って応援したいと思っている。

▼筆者:村本浩平
 1972年北海道生まれ。大学在籍時代に「Number ノンフィクション新人賞」を受賞。現在はフリーライターとして活躍。特に馬産地ネタでは欠かせない存在。

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