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週刊サラブレッドレーシングポスト

  • 2002年11月04日(月) 18時18分
 今週の月曜日から、アメリカでは「キーンランド・ノヴェンバーセール」がスタート。世界のブラッドストックマーケットはいよいよ、繁殖牝馬と当歳馬を中心としたブリーディングストック・セールの季節に突入した。ノヴェンバーの結果はセールの全日程終了後に御報告するとして、今週は欧州における最大のブリーディングストック・セール「タタソールズ・ディセンバーセール」のプレビューをお届けしたい。

 まず11月27日からスタートする当歳セッションだが、目玉は何といっても3日目に登場する父ジャイアンツコウズウェイ、母アーバンシーの牝馬だろう。父はこの世代が初年度産駒となる期待の新種牡馬で、母は凱旋門賞馬。3つ上の兄が10月20日にジョッキークラブ大賞典を制してG1初制覇を果たしたブラックサムベラミーで、4つ上の兄が昨年の欧州3歳王者ガリレオ。5つ上の姉がオークス3着馬メリカーで、叔父に一昨年の2000ギニー馬キングズベスト。従兄弟に昨年の仏ダービー馬アナバーブルーがいるという、現在求めうる最高の血脈と言ってよいだろう。

 この他、一昨年牝馬ながらG1バーデン大賞で2着となり、BCフィリー&メアターフでも3着となったカテラの妹(父ジャイアンツコウズウェイ)、昨年の2000ギニー2着馬タンバーレインの弟(父サドラーズウェルズ)、昨年の仏1000ギニー馬ローズジプシーの全弟(父グリーンデザート)らも注目の上場馬である。

 12月2日にスタートする繁殖牝馬のセッションでは、昨年の欧州チャンピオンスプリンター・モーツアルトの母ヴィクトリアクロス(デインヒル受胎)が目玉商品か。彼女は現在デインヒルを受胎しているので、来年春にはモーツアルトの全弟か全妹が誕生することになる。

 この他、98年に英愛ダービーともに2着となったシティーオナーズの母イケバナが、新種牡馬ファンタスティックライトを受胎して上場されるのをはじめ、自身がオペラ賞勝馬で、母としてG1オークローンH勝馬アティカスを産んでいるアシカ(ヘネシーを受胎)、G1アベイユ賞勝馬キスティナの母マブロヴァ(グリーンデザートを受胎)、前出のカテラの母クリスタルリング(ガリレオを受胎)、自身がG1ヴェルメイユ賞、G1ヨークシャーオークス等を制しているビントパシャ(レインボウクエストを受胎)、自身が愛オークス勝馬で、母としてチャンピオンS2着馬リヤディアンを輩出しているナイツバロネス(グランドロッジを受胎)、自身がG2ロウザーS勝馬で、母として今年の英国ダービー3着馬ムーンバラードを出したヴェルヴェットムーン(デイラミを受胎)らにも注目が集まりそうだ。

 日本に馴染みの血統では、90年のジャパンC2着馬オードが、スピニングワールドを受胎して上場されるのも興味深い。

 更に現役上がりの牝馬では、今年のG1ドバイデューティーフリーの勝馬ティレアティレ、今年の愛オークス3着馬レディーズシークレットらが上場予定。

 一方、来季も現役で使える牝馬では、昨年ニューマーケットのG2チェリーヒントンSでサイレントオナーの鼻差2着となったレディハイヘイヴン、今年のG1独オークス2着馬ミッドナイトエンジェルらが上場予定だ。

 豪華絢爛たる牝馬の饗宴がどんな結果をもたらすか。市場の動向に注目したい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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