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第2回JBC

  • 2002年11月04日(月) 22時17分
 千島列島に進んだ低気圧が発達し、典型的な冬型の気圧配置となった11月4日(月)の日本列島。晴れているとはいえ寒い盛岡競馬場に今私は来ている。待ちに待ったJBCの日。岩手県競馬組合は総力を挙げてこの記念すべきレースを盛り上げようと、事前から連日にわたる宣伝を繰り返してきたと聞く。

 スタンドには、馬産地からも多くの関係者が早々とつめかけめ、この日を待ち望んでいた人がいかに多かったかをまざまざと思い知らされた。私事ながら、私たち(一行3人)も前日夜に室蘭からフェリーに乗り込み、早朝6:30に青森港へと降立ち、一路東北自動車道を南下してやってきた。

 競馬場到着は午前9時。しかし早くも駐車場は約半分ほどもすでに埋るほどの人出となっており、その後も昼前後にかけて続々と入場する車の列がとぎれない。聞くところによれば早朝より入場門前に並ぶファンが長蛇の列となったため、競馬場の開門も7:30と大幅に早める措置を取ったとのこと。ちなみに競馬場一番のりは前日夜8:00に到着した人だったとか。今朝の午前6:00には、すでに100台の車が開門を待っていたともいう。ファンの出足も異例の早さだったというわけだ。

 最終的な入場人員は主催者発表によれば14,287人。平成8年11月3日(イシノサンデーが勝ったダービーグランプリの日)の入場者レコードには一歩及ばなかったとはいえ、近年では出色の数字だという。それを裏付けるように場内はどこも人また人であふれかえり、馬券売り場だけでなく、食べ物を販売する屋台も客の行列が長く続いていた。

 地方競馬場の中で、ファンが敷物を広げて場所取りをしなければならない所が、果たして今、何ヶ所あるだろう。これだけ混雑する光景は私自身の記憶の中では、久しく絶えてない。高い賞金を目指して強い馬が集まりその結果、内容の濃い白熱したレースが展開される。それを見るために多くのファンが競馬場に集まり、馬券を購入する。競馬のあるべき姿を見せつけられたような思いで興奮がまだ続いている。

 さて、今の段階では、今日のJBC2レースの全国的な馬券発売金額を確認できずにいるのだが、盛岡競馬場のある関係者によれば、トータルで28億円(本場と場外あわせて)を売らなければ赤字を出すとも伺った。果して28億円という数字が達成されたかどうか気になるところだ。ところが第3回JBCは、明年大井競馬場での開催が決定しているそうだが、その次の第4回は未定である。

 この興業としても壮大な規模のイベントを実際に挙行できる競馬場が、果して他にあるのだろうか? ひとつはコース設定(2000と1200)の問題から、更にもう一つは客席やその他のファン対策の面から、個人的には,当分の間、大井と盛岡の間のキャッチボールにならざるを得ないのではという気もする。コース設定は可能でも、例えば、馬産地の門別競馬場ではやはり、観客の滞留スペースがなく、かと言って札幌競馬場を借用しての開催も、あまり歓迎できないように思う。

 JBCが今後いかなる方向に向かうべきか、問題は少なくないだろう。ところでレース結果については衛星放送などでご覧になった方も多いと思うので、ここでは省略させていただく。ただし昨年に続いて今年もまた2レースともJRA所属馬の圧勝に終った。個人的には地方所属馬の健闘を期待していたのだが…。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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