11月28日「浦和記念」はマキバスナイパーの完勝だった。道中素晴らしい手応えで2番手を進み、3コーナー手前早くも先頭。そのまま余裕十分に押し切ってみせた。「完璧でした。少し(動くタイミングが)早いかなと思いましたが、最後までしっかり。去年の借りが返せましたね」と左海騎手。2000m2分5秒9は、昨年レイズスズランが2分6秒6(自身1番人気で大敗)だから、良馬場とするとひとまず水準。別定55キロで得意のコースなら、結果今日は負けようがなかったということか。重賞10勝目、統一Gは帝王賞を含めこれで4勝。デビュー通算52戦20勝という数字も、「地方の名馬」らしさを物語る。

浦和記念(サラ3歳以上、別定、統一G2、2000m良)

○(1)マキバスナイパー　　(55・左海)　　2分05秒9
◎(2)ベルモントアクター　(55・石崎隆)　2
　(3)ニシノハナグルマ　　(52・張田)　　4
▲(4)スナークレイアース　(55・和田)　　4/3
△(5)マイネルブライアン　(56・北村宏)　3
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△(6)クラシカルマウント　(55・見沢)
△(9)キングセイバー　　　(54・酒井)

単350円　馬複660円　馬単1350円
3連複3060円　3連単14040円

　マキバスナイパーは7歳馬、昔でいう8歳だが、衰えどころかパドックでも返し馬でも他を威圧する活気があった。それも歴戦のキャリアと実績に裏打ちされた本物の凄み。デビューから3〜4歳時まではとりたてて目立たない平凡なオープン馬で、しかし6歳の春、K.デザーモ鞍上に帝王賞を制した。以後いくつかの“波”を繰り返しながら再び旬を迎えている。言ってみればかつてのカウンテスアップ、テツノカチドキ、さらにスズユウ、スイフトセイダイ、チャンピオンスターらが歩んだ、「地方の名馬」の王道だろうか。とにかく逞しく打たれ強いということ。しばしばポカのある傾向も、うがった見方をすれば、「完調でないときは全力で走らない…」利発さ、したたかさの裏返しかもしれない。次走は12月29日大井「東京大賞典」。今季フレッシュな状態だけにむろんチャンスもみえてくる。

　2着ベルモントアクターは懸念されたスタートも無難にこなし、道中終始スナイパーをマークした。3〜4コーナー、スパートした相手に何とか食い下がろうというレースぶり。結局その差は詰まらず、現時点での「2馬身」が力関係というしかない。それでも自身統一G初挑戦。厳しい状況下でJRAの上位常連を退けたのだからやはり天才ランナーではある。6歳暮れ。ブランクが響き残された時間は多くないが、ごく客観的にみて「グランプリ」への挑戦権は確保した。

　前半エンジンがかからなかったスナークレイアース、ソツなく先行しながら失速したマイネルブライアンは、ともに鞍上を含め浦和コースにフィーリングが合わなかったということだろう。このレースの覇者に限っていうなら、ホクトベガ、キョウトシチー、それくらいの格と底力がなければやはり信頼度が薄い。3着ニシノハナグルマは健闘だが、馬体などいかにも薄手で、今後地方グレードでは心身ともパワーアップが必要になる。キングセイバーは円熟スナイパーにプレッシャーをかけられては当然の失速か。ここは経験。叩いての良化を期待したい。

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東京湾カップ(12月4日、サラ3歳、別定、1800m)

◎ジェネスアリダー　(桑島)
○エポドス　　　　　(石崎隆)
▲エスプリシーズ　　(今野)
△ヒミツヘイキ　　　(左海)
△アルスパルパドー　(早田)
△ノムラテンメイ　　(森下)
△タヤスエイト　　　(酒井)

　プリンシパルリバーの伸び悩み、浦和記念キングセイバーの大敗でやや評価の下がってきた南関東3歳世代だが、中でジェネスアリダーは健闘している。前々走地元川崎の「戸塚記念」を完勝。続く前走JRA初挑戦「武蔵野S」も、結果10着ながら道中外々を追い上げ、先につながるレースをみせた。当初からここを勝って大賞典出走が青写真。今回59キロをどうこなすかだが、イメージ以上に成長力がある。

　川島正行厩舎のエポドスがデビューから[5-1-0-0]でここに臨む。前走TRベイシティC楽勝。一連の時計からも自信満々の登場だろう。すでに自在の競馬を覚えているノーザンテースト産駒。あえて難をいえば唯一の1敗がJRA交流という精神面の若さだが、石崎隆Jが乗る以上そのあたりも折り込み済みか。いずれにせよ好勝負は間違いない。エスプリシーズは今春クラシックでイチ推しとしたが、前走をみる限り、まだ本格化に至っていない。ヒミツヘイキも潜在能力はともかく常識にかからない段階。それならパワー先行のアルスパルパドー、ノムラテンメイに食指が動く。