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地方競馬に大胆な改革を

  • 2011年09月17日(土) 12時00分
 残念ながら、荒尾競馬の廃止が本決まりになってしまいました。当サイトのコラム「地方競馬に吠える」で斎藤修さんが2度にわたって「再編」を訴えているように、この際、地方競馬の大胆な改革が必要だと思います。

「再編」にあたって重要なのは、いくつかの競馬場の「連携」です。細かいところはわかりませんが、現時点で「連携」がうまくいっていると思われるのは、大井、川崎、船橋、浦和の南関東4場でしょう。日本一の大都市圏を商圏にしながら、開催日程の調整、本場と場外の役割分担、人馬の交流、電話・インターネット投票システムの運営などなど、様々な面で「連携」しています。

 それに比べると、他地区での「連携」は未成熟と言えます。例えば名古屋、笠松、金沢の東海・北陸地区。今年4月から原則的に日曜と火曜は金沢、火曜を除く平日は名古屋か笠松という日程を組んで、「連携」を強化したようですが、最近発表された10〜12月のスケジュールでは、火曜に金沢と東海で“競合開催”する日が増えてしまいました。

 ひと昔前には、佐賀、中津、荒尾をまとめて「連携」を図ろうとしたこともあります。ところが、その構想が発表されたとたんに中津が廃止。ここ数年は佐賀と荒尾で「連携」してきたものの、今年限りで荒尾が廃止になれば、佐賀だけが単独での生き残りを余儀なくされることになるわけです。

来年度からは、中央・地方間の馬券の相互場外発売が拡大されます。双方にとって商圏拡大のビッグチャンスですが、土日を中心に開催している地方競馬にとっては、中央との競合が課題となってしまうかもしれません。地方同士の効率的な「連携」がますます重要になってきそうです。

 昼間と夜間、土日と平日といった開催スケジュールに地理的な条件を加味して「連携」できそうなところを考えてみました。南関東はこのまま、東海・北陸も工夫次第で何とかなるはずです。ほかでは、福山と佐賀。ともに土日中心の開催ですが、お互いがその開催日を譲り合って人馬を交流させれば、頭数の確保や番組の充実が図れます。これにナイター開催の高知を加え、「西日本競馬」として「連携」する手もありそうです。

 残るのは、北海道(道営)、岩手、兵庫。この3場は、思い切って中央との「連携」を強化してはいかがでしょう。中央の条件戦や未勝利戦を番組の中に組み込むんです。

 出走できるのは原則的に中央馬、騎手は地方在籍でもOK、地方馬の出走枠を設け、勝てば中央の指定レースの出走権を与える、賞金は中央と同じにして地方と中央が割合を決めて拠出する、といったルールで実施します。中央の未勝利戦や下級条件戦での除外対策にもつながると思うんですけど。

 法的制約や過去のしがらみなどが「再編」を阻んでいることは確かです。でも、そこを何とかしなければ。事は急を要します。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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