強力な先行馬不在だった。武豊騎手(サイレントディール)は、機先を制してハナを奪ってしまえば、楽なマイペースも可能と読んだ気がする。ところが、ペリエ騎手(マイネルモルゲン)も同じように考えた。悪いことにマイネルモルゲンはかかり気味。互いに下げる気配はなく、前半34.3−45.5−56.9秒。2歳戦の1600mではまずありえないハイペースになっている。
このペースで残るのはまず無理。世界の武豊、ペリエとすれば、作り出したペースはちょっと変だったかもしれない。ともに失速しての大凡走だった。不満が大きい。
しかし、このハイペースに乗って早めに動いたのがエイシンチャンプ。この伏兵は、前半57.4−後半36.1秒でまとめ、1分33秒5のグラスワンダーの記録を更新するレコードで乗り切っている。苦しい流れになって、キャリアがフルに生きた。また、ずっと中1週で使い続けていたから、いつもあまり本気で走っていなかったのだろう。タフで丈夫な面がプラスとなって前面に出た。この馬の秘める可能性は認めていい。
サクラプレジデントは出遅れ。それはいいが、あわてて追走しこの馬もずっとかかっている。ハイペースは恵まれた流れだったが、それを生かし切ることができなかった。テイエムリキサンはスタート直後にはさまれ、前半最後方からの追走。陣営は不満足だろうし、ちょっとかわいそうなところもあったが、このハイペース。置かれたことが逆に末脚の生きる形にもなっている。真価を問われるのは次走だ。
伏兵ワンダフルデイズ、タイガーモーションなど、いかにも2歳戦向きのスピード型はそれなりに好走したが、プラスアルファの底力を求められてはどうしようもない。2歳戦向きのタイプには苦しい激戦だった。