スマートフォン版へ

「あんな馬、こんな馬」第2回

  • 2011年10月12日(水) 18時00分
【今月の参加ジョッキー】
・国分優作騎手、川須栄彦騎手、高倉稜騎手
■“ペッ”って言うと、ペロッと舌を出す馬!?

優作 変わった馬もたくさんいるけど、かわいい馬もいるよね。

川須 言うことを聞いてくれない馬が多いから、おとなしく乗りやすい馬は、それだけでかわいくて仕方ないです。

高倉 僕は、プリサイストップ(牡4)っていう自厩舎(崎山厩舎)の馬がめちゃくちゃかわいい。競馬に行くと、神経質なところを見せるんですけど、馬房にいるときはホントにおとなしくて。前髪を三つ編みしたり、飼い葉を食べてるときに抱きついたりしても、ジーッとしてるんです。だから僕、いっつもその馬の馬房にいるんです。自厩舎のティボリペガサス(牝4)っていう馬は、馬房にいるときに触ろうとすると、すごい勢いで“ヒーン!”って鳴きます。それはもう、“触んな!”って感じで(笑)。プリサイストップと同じことをしたら、大変なことになりますよ(笑)。

高倉騎手

優作 馬って、ホントに1頭1頭、性格が違うよね。国枝厩舎にいたころ、グレイスフルソング(牝6)っていう女の子がいたんだけど、その馬は頭が小さくて、顔がめっちゃかわいかった。男の子では、タケショウオージ(引退)かな。見た目はけっこうキツイ目をしていて怖そうなんだけど、よく見るとボケーッとしていて、いつもベロが出てた(笑)。

川須 そういう馬ってかわいいですよね。前に立つと、“ペッ”ってベロを出す馬、いますいます(笑)。

優作 国枝先生が“ペッ”って言うと、ペロッて出すんだよ。

川須 そうやると、可愛がられるってわかってるのかな〜。

優作 でもたまに、“ペッ”って出したベロが裏返ってたりする馬もいたり(笑)。

川須 そういえば、出っ歯の馬もいますよね。

優作 いるいる! めっちゃ出っ歯の馬! 少数派だけど、厩舎に1頭はいるんじゃないかな。

川須 一見、噛み合わせが悪そうだけど、不思議と競走能力には関係ないんですよね。

(小見出し)
死ぬかと思った〜!

優作 馬ってかわいいけど、洒落にならない怖い思いをしたこともあったな。

川須・高倉 ありますよ〜!

優作 もう引退してしまったけど、国枝厩舎にショウナンハゴロモっていう女の子がいてね。フケがすごい馬で、装鞍中に押しつぶされて、死にそうになった(笑)。とにかく体を押し付けてくるんだよ。押し返すと、余計に押し付けてくるから、馬と壁に挟まれて、肺がつぶれるかと思った…。『助けてください!』って本気で叫んだんだけど、みんな笑って見ていて(笑)。大丈夫なのがわかっていたからだと思うんだけど、俺からすれば、マジで骨が折れるかと思ったよ。

国分優作騎手

高倉 なんかその状況、わかります(笑)。僕は、ブラックシャドウ(引退)っていう準オープンの馬で、死ぬかと思う体験をしました。ずっと付きっ切りで攻め馬をしていた馬なんですけど、けっこう大きな馬で。レースに行くと、ゲートが悪くて潜っちゃうんですよ。それでもなんとか使えていたんですけど、小倉で使ったときに、頭を思いっ切りゲートの下から出してしまって。僕の腕が完全に持っていかれてしまって、僕も『助けてぇーー!』って思いっ切り叫びました(笑)。競馬会の職員の方が助けてくれたんですけど、マジで死ぬかと思った…。

優作 ゲートを潜ろうとする馬、けっこういるよね。

高倉 ゲートの中って狭いですからね。人ひとり入っただけでも“狭いな”って感じるのに、400キロも500キロもある馬からしたら、さぞかし怖いと思いますよ。

川須 僕は、1年目、セイユウハート(牡3)っていう馬でレース中にすごく怖い思いをしました。

高倉 あ、それ知ってる…。

川須 阪神の外回りコースで、スタートして最初のコーナーで仮柵に突っ込んで行ってしまって。返し馬のときからちょっと様子がおかしかったんですけどね。

高倉 たしか逃げたんだよな?

川須 そう。そのまま仮柵のほうに張り付いてしまって、全然コントロールが利かなくて。そのまま、ガガガガーッって仮柵を倒して、内回りコースに突っ込んで行きましたよ(笑)。僕が逃げてたもんだから、後続の人たちは、内ラチがなかったんです。

川須騎手

高倉 でも、馬も川須もケガがなくて良かったよね。

川須 ひっくり返ったのに、すぐに立ち上がってくれてホッとした。でもその馬、そのままちゃんと内回りコースを走って、ちゃんと1着でゴールしたんだよ(笑)。

高倉 よっぽど勝ちたかったんだろうな(笑)。でも、ホントにケガなくて良かった。

川須 怖かったよ。「死ぬ!」って思ったもん。今だったら、返し馬で「この馬、今日ちょっとヘンだな」って思ったら、馬ごみでジッとしたりだとか、まずは安全に乗ることを考えられるんですけどね。1年目だったから、もうひたすら必死だったな。

元祖「キシュトーーク」のレギュラー陣、国分恭介、国分優作、松山弘平、川須栄彦、高倉稜を中心に、栗東・美浦・地方からも幅広く、これからの競馬界を担うU25の若手ジョッキーたちが登場します!

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング