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ファインモーションの取捨は?

  • 2002年12月16日(月) 12時02分
 今年の有馬記念はかなりの豪華メンバーとなった。

 これほどまでにファン投票上位馬が揃うのは、久々ではないだろうか。昔と違って最近はファンも「出否動向」を考慮しつつ投票する傾向があるが、それにしてもよく揃ったものである。

 そして、出走を決めた「最後の1頭」となり、有馬記念本番でもポイントとなるのが、ファインモーションである。

 ひょっとすると1番人気か2番人気になるかもしれないこの馬だが、近年の有馬記念で1〜3番人気になった牝馬は、

昭和61年
メジロラモーヌ 2番人気9着

昭和62年
ダイナアクトレス 2番人気7着

平成7年
ヒシアマゾン 1番人気5着

平成9年
エアグルーヴ 2番人気3着
メジロドーベル 3番人気8着

平成10年
エアグルーヴ 2番人気5着

と連対がない。ヒシアマゾンは3歳時に6番人気2着しているが、このときは2番人気ネーハイシーザー、3番人気アイルトンシンボリという状況で、相手関係に恵まれた面もある。ファインモーションがかなりの馬であることに間違いはないが、前掲の馬たちも素晴らしい名牝。その馬たちが人気で大敗している以上、ファインモーションにも疑問を投げかけざるをえない。

 ちなみに、「古馬重賞、芝1800m以上、ハンデ戦以外、牡牝・全性戦」という条件のレースに1〜3番人気で出走した牝馬は92年以降の10年でのべ77頭おり、単勝回収率51%・複勝回収率92%。複勝回収率は一見高いが、4歳馬が稼いだ数値であり、3歳牝馬は単勝162%・複勝58%。今度は単勝回収率が高く見えるが、内訳は7戦3勝で、3勝はオールカマー、小倉記念、朝日CCにおけるものである。G1、それも有馬記念となるとそのまま応用しづらいものがあり、ファインモーションは意外な人気薄にならない限り、買わないつもりだ。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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